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患者の健康を守るため、まずは自分を健康に…40代ママドクターが実践する〈心と体のセルフケア〉

患者の健康を守るため、まずは自分を健康に…40代ママドクターが実践する〈心と体のセルフケア〉

※画像はイメージです/PIXTA

医師は日々の診療業務や研究、不規則な暮らしなどで多くのストレスに晒されています。患者の命を守り心身をケアするのが医師の重要な仕事のひとつですが、そんな医師自身はどのように自分を守っているのでしょうか。
3児の母であり小児科医の米田真紀子先生(京都きづ川病院/きづ川クリニック)が自身の経験をこめて解説します

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“余裕”がなければ寄り添えない…見過ごしがちな医師の「重要な仕事」

医師は患者の不安に応え、それを取り除くことが重要な仕事のひとつです。
特に小児科では、多くの軽症疾患に埋もれている重症疾患を見つけ、診断・治療することが求められます。しかし、たとえ軽症疾患であっても、患者や保護者の不安の程度や種類は1人ひとり異なります。それら1つひとつの不安に傾聴し、寄り添うことも重要です。
診療していて感じるのは「自分に余裕がなければ、他人の不安に対処するのは難しい」ということです。そのため、自分の心身の健康を常に維持することが大切です。

小児科医の私が実践する「5つ」のセルフケア

1.診察室に“推し”を忍ばせる
診療業務は日々のルーチンであり、避けることはできません。であれば、やるべきことを楽しくできるよう工夫を凝らすのが大切だと思います。
たとえば、診察室やデスクを自分好みに飾りつけたり、自分の推しを診察室のどこかに忍ばせたりするのもいいでしょう。また、患者さんや保護者とのなにげない会話を楽しんだり、診療中に感じた疑問を自分なりに調べたりというのもモチベーションの維持につながります。

診療では、目の前の子どもの診断・治療を通じて回復に向かう瞬間を共有するというタスクに大きなやりがいを感じます。病気が完治したとき、保護者や患者さんからの感謝の言葉は格別に嬉しいものです。

2.プライベートなタスクは“ゲーム感覚”で
仕事が終われば、家のことや子どものことでやるべきことが山積みです。ただ、それもゲーム感覚で、いかにタスクを効率よくクリアできるか、ということを考えながらさまざまなことをこなしています。忙しさを楽しむ余裕を持つことができれば、たいていのことが円満に進むと思います。

3.週に数時間、ほんの数十分でも“自分だけの時間”を確保する
少しでも時間が空けば、自分の時間をしっかり確保することを意識しています
筆者の場合スポーツが趣味なので、どんなに疲れていてもできるだけ体を動かし、リフレッシュするようにしています。
また、運動を通じて仕事とは違うコミュニティに属して完全に仕事から切り離されることで、普段とは違う自分を感じることもでき、視野が広がります。

なにも必ず運動である必要はありません。ただただぼーっとするだけでもいいし、週に数時間、ほんの数十分だけでも、そうした自分だけの時間を確保するために、家族にも協力してもらうことが大切だと思います。

4.自然のなかで過ごす
週末には、予定が空いていれば子どもと一緒に遊びに出かけることが多いです。遊園地やテーマパークもときどき行きますが、自然のなかで過ごすことが多いです。
山や川、海など、自然のなかに身を置くことで、街の喧騒から離れてリフレッシュできます。きれいな景色を見たり、広々とした場所で過ごしたりすることで、日常の悩みが些細なことに思えてきます
子どもが一緒に遊んでくれるうちは、目線を合わせて一緒に楽しみたいと考えています。

自分を後回しにせず「心が弾む瞬間」を大切にして

5.毎日を楽しく過ごす
そして、5つ目のセルフケアは……
40歳を過ぎて体に無理が効かなくなってきたのは認めざるを得ません。たまの当直の疲れが何日も響くことがあり、細かいものが見えづらくなったり、子どもの点滴が難しくなったり、極小の文字も読みづらくなったりしています。聴力も少し衰えを感じ、子どもたちが同時に喋ったときの情報処理能力が落ちていることを実感します。
疲れたときに鏡を見るとボロボロの自分が映っていて、思わず「誰や、これは!」と思うこともあります。

それでも、筆者がいつも心がけているのは「毎日を楽しく過ごすこと」です。なにか迷ったときは、自分や周りの人がどうしたら楽しくいられるのかを最優先に考えるようにしています。
日々の忙しさに埋もれがちですが、毎日病気の子どもたちを診ていると、なにごともない平和な日常がどれほどありがたいことか痛感します

「子どもが元気に学校に行けた」「かわいい鳥の声を聴けた」「目玉焼きの焼き加減が完璧だった」「通勤の信号運がよかった」「お気に入りの服を着こなせた」……ほんの些細なことでも心が弾む瞬間を大切にすることで、毎日が幸せな気分になります。

自分自身がハッピーでいるために
実は、この執筆依頼を受けたとき「はて、自分はセルフケアをしているのだろうか?」と考え込んでしまいました。しかし、自分の生活を振り返る良いきっかけとなり、さまざまなことに気づくことができました。
SNSや外来で会う保護者を見ていると、自分のことを後回しにしてしまっている人が多いと感じます。家族のためにやるべきことが多いのは理解できますが、あまりにも自分を犠牲にしてしまうと、知らず知らずのうちに周囲に対して否定的な感情が生まれ、心がしんどくなってしまいます

少しでも家族や子どもに協力してもらい、「自分が笑顔でいること」がなにより大事です。あなたがハッピーでいるためなら、家族も楽しんで協力してくれることが多いですよ。

著者:
米田 真紀子
京都きづ川病院/きづ川クリニック 小児科医
(編集:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン)
提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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