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その開業候補地で本当に大丈夫?WEB時代の診療圏調査とは【集患対策に強いデジタルマーケティングのプロが解説】

その開業候補地で本当に大丈夫?WEB時代の診療圏調査とは【集患対策に強いデジタルマーケティングのプロが解説】

既に開業されている先生は年々、集患の競争激化を感じているのではないでしょうか。またその一方で、これから開業される先生は、どこに開業すべきか、その開業候補地で本当に経営がうまくいくかどうかなど、不安なこともあるでしょう。
そこで今回はクリニック開業するにあたり予め知っておきたい、クリニック経営における集患マーケティングや、検索ニーズを捉えることの重要性などをデジタルマーケティングのプロ集団である株式会社AViC様に解説いただきます。

クリニック経営における集患マーケティングの必要性

その開業候補地で本当に大丈夫?WEB時代の診療圏調査とは【集患対策に強いデジタルマーケティングのプロが解説】

出典:厚生労働省 令和 2年医師需給推計の結果

病院の数は20年以上ずっと減少しているのに対し、クリニック(一般診療所)の数は増加し続けています。それだけ新規開業が増え続けているということです。厚生労働省の調査では今後も人口当たりの医師数が増加し続ける見通しとなっていますので、新規開業の増加傾向は今後も続いていくと考えられます。

そうなると、今まで以上に集患競争は激化していきますので、集患マーケティングはこれから必須で取り組んでいかなければならないと言えるでしょう。

アナログマーケティング VS デジタルマーケティング

その開業候補地で本当に大丈夫?WEB時代の診療圏調査とは【集患対策に強いデジタルマーケティングのプロが解説】

集患マーケティングはアナログ施策とデジタル施策に分けられます。アナログ施策としては主に以下のようなものが挙げられます。

・テレビ
・駅看板
・電車、バス内広告
・屋外看板
・電柱広告
・チラシ
・内覧会

デジタル施策としては主に以下のようなものが挙げられます。

・SEO(検索エンジン最適化)
・MEO(地図検索最適化)
・各種SNS(自然投稿、広告)
・リスティング広告
・バナー広告
・動画広告

アナログ広告として最も多く見かけるのは駅看板広告でしょうか。駅看板広告の中でクリニックの広告が占める割合は非常に高い印象です。クリニックが立地する地域の多くの方に限定して訴求できるため、アナログ広告の中でも効率の良い施策と言えます。

一方でみなさんは最寄り駅の看板に掲載されているクリニック広告をそれぞれ覚えていらっしゃいますか。そもそも駅に看板広告が1つ、2つ程度しかない場合は覚えているかもしれませんが、そうでない場合は1つ1つの広告まで記憶に残っていないことと思います。

多くの方は立ち止まっているときはスマホを見るなどしていて、じっくりと広告を見る機会はほとんどなくなってきています。電車やバスの中も同様にほとんどの方がスマホを見ています。

今は20代で1日4時間以上、60代でも1日1時間半以上ネットを見ている時代です。1日の可処分時間の内、多くをデジタル空間上で過ごすため、デジタルで訴求しないと中々認知をしてもらえません。

また、患者様はたとえアナログ広告や家族・知人の紹介でクリニックを知ったとしても、来院までの間には必ずホームページやGoogleMapを確認します。その際に信頼を獲得できなかったり、たどり着くのに苦労してしまうようでは、来院に至りません。そういった意味でも、デジタルによるマーケティング施策は必ずおさえなければならないと言えるでしょう。

検索ニーズを捉えることの重要性

その開業候補地で本当に大丈夫?WEB時代の診療圏調査とは【集患対策に強いデジタルマーケティングのプロが解説】

では患者様はどのような行動フローを経由して来院に至るのでしょう。来院に至る行動パターンは2種類あります。事前接触型と今すぐ型です。

事前接触型
事前接触型は以下のフローです。

「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「来院」

まずは各種広告等によって、そもそもそういった治療が存在するということを認知してもらいます。世間的にあまり知られていない治療法や、放置するリスクが知られていない症状等が該当します。

まず「認知」して「興味・関心」を持った方がGoogleで『検索』を実施し、どういった治療なのかということや、自分の悩みや症状を解決できるかを調べます。

治療を受ける気持ちが固まったら、次はどこのクリニックで治療を受けるか、GoogleやGoogleMapで『検索』を実施して「比較・検討」します。クリニックを決めたら「来院」です。

今すぐ型
今すぐ型は以下のフローです。

「比較・検討」→「来院」

事前接触型とは違って「認知」「興味・関心」の段階がなく、いきなり「比較・検討」から始まります。保険診療はほとんどこちらの今すぐ型です。

「発熱した」「歯が痛い」「花粉症になった」等の症状が出たことを機会にクリニックを『検索』し、「比較・検討」します。クリニックを決めたら「来院」です。

事前接触型、今すぐ型、いずれのフローを通ったとしても、「興味・関心」や「比較・検討」の段階で必ずGoogle検索、またはGoogleMap検索を実施します。そのため、デジタルマーケティングが必須となった今の時代は、この検索ニーズをしっかりと捉えること、検索を実施したときに選んでもらえることが集患において最も重要です。

WEB視点での診療圏調査

その開業候補地で本当に大丈夫?WEB時代の診療圏調査とは【集患対策に強いデジタルマーケティングのプロが解説】

ほとんどの先生は開業に際して診療圏調査を実施されることと思います。検索を実施したときに選んでもらえることの重要性を踏まえると、開業地選びはどのように行うべきでしょうか。

従来の診療圏調査
多くの事業者が無料で診療圏調査をサービス提供しています。これは国勢調査のデータを元に人口統計と地域内競合クリニック数から「平均」何人の患者様が来院するかを試算したものです。かつては今のように集患競争が激しくなかったため、「平均」何人来院するかが分かれば、ある程度それに近い数の患者が来院するため、この調査で十分でした。

課題
ところが、集患が激化してきた昨今は従来の診療圏調査では十分とは言えなくなっています。以下のような課題が挙げられるからです。

・集患競争激化により、集患がうまくいっている競合とうまくいっていない競合が存在している
・Web(デジタル空間)上では露出が一極集中するため、特に強弱の差が大きくなっている
・そのため、集患が期待される「平均」数値が当てにならない
・Webでの検索行動を考慮できていない

求められる視点
そこで、開業地の検討には以下の視点が求められます。

・Web上で、該当地域の該当診療科目にどれくらいのニーズが有るか
・地域内各競合のWeb集患の強さも勘案した上で、どれぐらい集患できそうか
・Web集患において重要な検索ニーズを捉える必要がある

必要なアウトプット
そのため、これからの診療圏調査においては以下を分析した上で、開業候補地を選定する必要があります。

・該当地域の該当診療科目にどれほどの検索ニーズが有るか
・各競合のWeb集患の強さの評価
・その環境下における集患可能性

競争が激化している昨今で選ばれるために

集患競争が今ほど激化していなかった時代では、しっかりと患者様に向き合い、高い品質で医療を提供していれば経営に困ることはなかったでしょう。ところが、競争が激化している昨今では、そもそも地域の方々に知られる機会がないと、どんなに素晴らしい医療を提供していても患者様に選ばれることが難しくなっています。

開業地域において、デジタル上で検索行動を実施する患者様にどれくらい選ばれる可能性があるか、どう対策すればどの程度集患が期待できるかを見通すことは、経営において非常に重要になっています。

これから開業される先生、既に開業されていて集患を強化したい先生はWeb視点の診療圏調査を行っていただくことをお勧めいたします。

著者:
株式会社AViC
「マーケティングで社会、企業、人をよりよくする」をミッションに掲げ、デジタルマーケティングの戦略設計から集客施策、広告運用まで、マーケティング投資対効果の最大化に貢献するプロフェッショナル集団。
提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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