余暇を楽しむ Enjoy Leisure

忙しい医師が冬を乗り切る、鍋という選択~10分完成、冬の体調管理法

忙しい医師が冬を乗り切る、鍋という選択~10分完成、冬の体調管理法

冷え込みが厳しくなる季節。外回りの往診はもちろん、診察室でも冷えや乾燥に悩まされる日々が続きます。仕事帰りに考える夕食の準備、家事……「今日はもう何もしたくない!」と思う日もあるでしょう。診療で疲弊する中、自分自身が体調を崩さないための備えが必要です。
鍋は「野菜・たんぱく質・水分」を同時に摂りやすい食事。手間なく必要な要素が一度にそろいます。帰宅後すぐ、自宅で温かく栄養バランスの取れた一品が完成する、日本の冬は医師も鍋!
手軽さだけではありません。「なぜこの食材なのか」栄養データと共に「おいしい+α鍋」をレシピ形式でご紹介します。

▶「MedicalLIVES」メルマガ会員登録はこちらから
日々の診療に役立つコラム記事や、新着のクリニック開業物件情報・事業承継情報など、定期配信する医療機関向けメールマガジンです。メルマガ会員登録の特典として、シャープファイナンスのサポート内容を掲載した事例集「MedicalLIVES Support Program」を無料進呈!

なぜ、冬は鍋なのか(師走の鍋の大義)

冬は患者数が増え、診療の密度も自然と上がります。一方で、乾燥や冷え、日照時間の短さなどが重なり、体力や集中力は気づけば削られている。感染症にさらされる機会も多く、心身のコンディション管理がより重要になる季節です。
そうした状況で、鍋は合理的な選択肢と言えます。温かい料理であることに加え、野菜とたんぱく質、水分を一度に摂りやすい。調理工程が少なく、失敗しにくい。忙しい日でも食事の質を落とさずに済みます。

日本の冬に鍋が定着したのは、乾燥や冷えといった環境下で必要な栄養を効率よく摂れる食事として、理にかなっているからだと整理できます。

忙しい医師が冬を乗り切る、鍋という選択~10分完成、冬の体調管理法

「鍋野菜セット+鍋ポーション+あとひとつ食材」で変わる食事体験

スーパーやコンビニで入手できる「白菜、ねぎ、きのこ、人参など」カット済み野菜がパックされた鍋野菜セット。キューブやプチっとする鍋つゆポーションと一緒に買えば、帰宅後は火にかけるだけで10分で完成です。豆乳鍋、味噌鍋、キムチ鍋など、つゆを変えれば味のバリエーションも広がります。
そこに“あとひとつ”。食材を足せば、毎日の鍋がもっと豊かになります。

おすすめ「あとひとつ」推し食材

① 豆腐

推しの理由:消化しやすく、疲れた日もたんぱく質補給に適します。
豆腐は鍋の定番ですが、改めて見ると非常に実用的です。スーパーでもコンビニでも確実に手に入り、包丁や下処理は不要。鍋に入れるだけで、だしを吸い、スープに溶けだして全体をまろやかに整えてくれます。
最近は充填タイプ※の豆腐が主流になり、水切りも不要。絹・木綿の選択肢も増え、好みや鍋の種類に合わせて選びやすくなっています。
※充填豆腐:容器に豆乳を充填してから密閉・加熱凝固させる製法。密閉してから加熱処理するため、通常の豆腐より賞味期限が長く買い置きにも調理にも便利

食品成分表などに基づく栄養データ
アミノ酸スコア100:大豆たんぱく質は必須アミノ酸を全て含み、肉や魚と同等の栄養価
PDCAAS(たんぱく質消化吸収率補正アミノ酸スコア)最高値:消化吸収率が牛乳や卵と同等
コレステロールフリー:動物性たんぱく質と異なり、脂質異常症リスクを高めないといわれる
消化性良好:胃腸への負担が少なく、疲労時や体調不良時の栄養補給に適する
※日本食品標準成分表2020年版を参照

おすすめメニュー: 豆乳鍋+豆腐+鶏肉
植物性・動物性たんぱく質のバランスが良く、ビタミンB群も同時摂取できます。

② もやし

推しの理由: 低カロリーで食物繊維を含み、ボリューム確保と栄養補給を両立できます。

もやしは安価で手に入りやすく、包丁を使わずに済むのが嬉しいところ。鍋野菜セットだけでは物足りないときにも頼りになります。
そのままでも構いませんが、もやし特有の臭みが気になる場合は、ぬるめのお湯(50℃程度)に塩ひとつまみと酢大さじ1/2を入れて、1分ほどさっと湯通しをすればお子さまにも食べやすくなります。火の通りが早いので、鍋には最後に加えてシャキシャキ感を残すのがコツです。
翌朝のお弁当に使うなら、ゴマ油と一緒にジップロックにひとつかみ分を取り分けて、ポン酢ひとさじで和えれば別の一品に。

食品成分表などに基づく栄養データ
食物繊維:緑豆もやし100gあたり1.3g。水溶性・不溶性両方を含む
低カロリー:100gあたり14-15kcal。体重管理中でもボリュームを確保しやすい
ビタミンC:コラーゲン合成に関与する水溶性ビタミン
カリウム:体内の水分・電解質バランスの調整に関わるミネラル
アスパラギン酸:アミノ酸の一種。疲労回復に関わるとされる
※日本食品標準成分表2020年版を参照

おすすめメニュー: 味噌鍋+もやし+牛乳(ミルク坦々風)
お子さんがいる場合、牛乳を加えることで辛味がまろやかになり、カルシウムも補給できます。大人はラー油を一滴追加で。

③ 鮭

推しの理由ビタミンD、EPA/DHA、アスタキサンチンを含み、冬の栄養補給に適しています。鍋というと豚肉や鶏肉を思い浮かべますが、鮭のほか白身魚もおすすめです。北海道の石狩鍋のように、鮭と味噌の組み合わせは相性抜群。生でも冷凍でもそのまま鍋に入れられるので準備も簡単です。魚のうまみがスープに溶け出し、お肉とは違った味わいが楽しめます。
お子さん向けには、石狩鍋風の味噌バター鍋がおすすめ。味噌味の鍋つゆに仕上げでバターをひとかけ加えるだけで、コクが出て食べやすくなります。
じゃがいもやコーンを足せば、彩りと甘みでお魚が苦手なお子さんも食べやすくなります。白身魚にも合うアレンジです。小骨には気をつけてあげてください。

【食品成分表などに基づく栄養データ】
ビタミンD:鮭1切れ(100g)に32.0μg含有。成人の1日推奨量9.0μgを満たす量。カルシウム・リンの吸収に関わる脂溶性ビタミン
アスタキサンチン:鮭の赤色色素成分。カロテノイドの一種で、ビタミンEと比較して高い抗酸化力を持つとされる(研究報告:Nishida Y, et al., 2007)
良質なたんぱく質:必須アミノ酸をバランスよく含む。ビタミンB6も豊富
EPA・DHA:n-3系多価不飽和脂肪酸。魚油に多く含まれる成分
※日本食品標準成分表、各種研究報告を参照

おすすめメニュー: 味噌バター鍋+鮭+じゃがいも+コーン
子ども向けに特におすすめ。じゃがいもとコーンの甘みで魚の苦手意識を軽減。味噌とバターのコクで食べやすくなります。

④ しょうが・ニンニク(チューブでOK)

推しの理由: 香味成分を含み、鍋の風味を高めます。冬の食事に取り入れやすい食材です。どんな鍋にも合う万能選手。冷蔵庫に常備しておけば、いつもの鍋にちょっと加えるだけで、風味が増します。チューブタイプなら手も汚れず、使いたい分だけ簡単に足せるのが便利です。
お腹を空かせた家族がいる日、ひき肉があればこんなアレンジもオススメ。
簡単坦々鍋鍋でニンニクとショウガをごま油で香りが立つまで炒め、ひき肉を加え白くポロポロになるまで炒めます。そのまま野菜とお湯、鍋つゆを加えて煮込めば完成!

【公的資料・研究報告に基づく栄養データ】
しょうがの成分:
ジンゲロール(生):生姜に含まれる辛味成分。末梢血管に作用するとされる
ショウガオール(加熱):生姜を加熱するとジンゲロールから変化。体を温める成分として知られる
その他の作用:MSDマニュアルプロフェッショナル版では、制吐作用および悪心抑制作用(特に動揺病や妊娠による悪心)、抗炎症作用、鎮痛作用が記載されています
ニンニクの成分:
アリシン:ニンニクを刻んだり潰したりすると、アリインから酵素的に生成される含硫化合物。特有の香りの元
ビタミンB1との相互作用:アリシンはビタミンB1と結合し、吸収を促進するとされています
研究報告:MSDマニュアルプロフェッショナル版では、降圧効果(2020年メタアナリシス:高血圧患者553例で収縮期血圧8.3mmHg、拡張期血圧5.5mmHg低下)、脂質低下効果(2013年メタアナリシス:総コレステロール17mg/dL、LDLコレステロール9mg/dL減少)、感冒予防効果(RCT:146例、12週間で感冒発生が有意に少ない)が記載されています
※MSDマニュアルプロフェッショナル版、各種研究報告を参照

おすすめメニュー: 豆乳鍋+しょうが+鶏肉
ミルク鍋にもしょうがとニンニクはまろやかに合うため、刺激が苦手な場合でも体ポカポカの効用をおいしくいただけます。
保存のヒント: 休日に余力があるときは、おろしてジップロックやラップに入れて薄く凍らせておくのもおすすめ。チューブより新鮮な一味違う香りを、必要な分だけ割って手軽に楽しめます。

鍋のあとの楽しみ、「しめ」のアレンジ

お鍋のあとのお楽しみといえば「しめ」。残ったスープに旨味が凝縮されているので、最後まで美味しくいただきましょう。

▼ 定番のたまご雑炊
どんな鍋にも合う定番雑炊。ご飯を入れて温め、溶き卵でとじるだけ。
▼ 中華風雑炊
ご飯とザーサイや高菜を刻んで加え、ごま油をひと回し。お好みで生卵をひとり1個。これも濃い味からシンプルまで幅広い鍋に合います。
▼ チーズ雑炊
辛い系味噌鍋のあとにおすすめ。溶けるチーズを加えれば、まろやかでコクのある一品に。
▼ 優しいうどん
豆乳鍋のあとには、うどんを入れて温めるだけ。体にやさしく染み渡ります。
▼ カルボナーラ風パスタ
豆乳鍋のあとにパスタを投入。溶けるチーズと卵を混ぜれば、クリーミーなカルボナーラ風に。
▼ シュクメルリ風(豆乳鍋+じゃがいも+鶏肉の場合)
豆乳やミルク鍋のつゆを多めに残し、溶けるチーズをたっぷり混ぜればジョージア料理風の濃厚な一品に。フランスパンを添えても合います。

簡単でいい。自分を守るための食事を

寒い季節、患者さんからの風邪や体調不良の訴えが増える時期。診療で疲弊する日々だからこそ自分自身の体調管理が最優先。「今日は何も作りたくない」と思う日こそ、楽に栄養とケアをできる選択肢「鍋」の出番です。
鍋野菜セットに“あとひとつ”加えるだけで、体を温め、粘膜を保湿し、栄養を効率的に摂取できる一品に。調理の手間はほぼゼロ。火にかけるだけで、温かく栄養バランスの取れた食事が完成します。手軽においしく冬を乗り切りましょう。
鍋は、日本の冬が生んだソリューション食です!

提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

記事紹介 more

冷え込みが厳しくなる季節。外回りの往診はもちろん、診察室でも冷えや乾燥に悩まされる日々が続きます。仕…

事業承継と聞くと、「手間がかかりそう」「お金の話が面倒」といったネガティブな印象を抱く人も少なくない…

少子高齢化の日本では、あらゆる業界で「後継者不足」が深刻化しています。これは医療業界も例外ではありま…

このコラムではお車にご興味がある医師・歯科医師の方へ、車の売る際の”リセールバリュー”にスポットを当…

日本の不動産価格は高止まりの状況です。東京・銀座2丁目にある明治屋銀座ビル、わずか1㎡の地価が4,6…

カーミングシグナルとは、犬がストレスや不安を感じたとき、または相手に落ち着いてほしいときに、自分自身…

診療所に並ぶ一冊の本が患者さんやスタッフの心を開き、繋ぐ。書籍を薬、紹介文を処方箋に見立てた「本の処…

近年、勤務医の過酷な環境から逃れるため、安易な理由から開業に至る医師が少なくないと、現役開業医のT氏…

クリニックの閉院(廃業)は、医業承継が困難な場合の「出口戦略」の一つです。自主的に事業を廃止する選択…