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知ってるつもりが…今さら聞けない? 融資の専門用語を解説します【専門家が解説】

知ってるつもりが…今さら聞けない? 融資の専門用語を解説します【専門家が解説】

※画像はイメージです/PIXTA

医院を運営していくなかで、新規開業に始まり事業拡大や医療機器等の買替えの際に避けて通れないのが資金調達です。しかし、実際に資金調達の検討をし始めると、耳慣れない専門用語が多く出てくるのではないでしょうか?
本コラムでは、今さら聞けないけれど知っておきたい、なんとなく知っているつもりになってしまいがちな融資に関する基本用語を分かりやすく解説します。(日本クレアス税理士法人監修)

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1.融資(ゆうし)
金融機関が企業や個人に対して、資金を貸し付ける行為全般を指します。借りた資金は、原則として利息とともに返済する義務が生じます。

2.金融機関(きんゆうきかん)
銀行、信用金庫、信用組合、日本政策金融公庫、福祉医療機構など、融資を行う機関の総称です。それぞれ融資の対象や得意とする分野や条件は異なります。また顧客が必要とする設備などを代わりに購入し、それを一定期間貸し出すことで、顧客の資金調達を間接的に支援するリース会社も広義の金融機関となります。

3.元金(がんきん)と利息(りそく)
金融機関から実際に借りた金額が元金であり、それに対して支払う対価が利息になります。

4.金利(きんり)
元金に対する利息の割合を年率で示したものです。金利が低いほど、借り手の返済負担は軽くなりますが、金融機関で提示している表面金利だけではなく、手数料や保証料などの諸費用を含めた実質金利比較検討することが、有利な条件の融資を選ぶコツとなります。

5.固定金利(こていきんり)と変動金利(へんどうきんり)
固定金利は、相場より高めの金利になる傾向がある代わりに契約時に決めた金利が返済期間中変わらないため安定した支払いの維持ができます。
対して、変動金利は市場金利に連動して変わる金利です。低金利が続けば有利である一方、金利上昇によるリスクも考慮する必要があります。

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6.返済方法(へんさいほうほう)
代表的な返済方法に、元利均等返済、元金均等返済、一括返済などがあります。
元利均等返済 毎回の返済額(元金+利息)が一定となる返済方式です。返済当初は利息の割合が高く、徐々に元金の割合が高くなってきます。主に住宅ローンや各種ローンの返済で利用されることが多いです。
元金均等返済 毎回の返済額のうち、元金の金額が一定で利息部分が残高に応じて変動する返済方式です。返済当初の負担が大きく、徐々に返済額が減少していきます。事業資金融資では元金均等返済が主流となっています。
一括返済 返済期日に元金と利息をまとめて、返済期日に一括で支払います
上記以外にも、元金の支払いを一定期間据え置きし毎月利息のみを支払う返済方法や利用限度額の範囲内で繰り返し借入しても毎月一定額を支払うリボルビング払い等様々な返済方法があります。

7.借入期間(かりいれきかん)
借りた資金を返済する期間のことです。運転資金、設備資金等の用途や審査によって返済期間が異なります。返済期間が短期となると月々の返済額に余裕がなくなる場合もあるため返済計画をしっかり立てる必要があります。また長期で借入できた場合でも、予定より早く、一部または全額を前倒しで返済する際は手数料がかかる場合もあるため、事前確認が必要です。

8.事業計画書(じぎょうけいかくしょ)
事業の目的、内容、将来の計画、収益の見込みなどを具体的に示した書類です。融資審査において非常に重要な資料となります。

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9.担保(たんぽ)と保証人(ほしょうにん)
担保 借り手が返済できなくなった場合に、貸し手がそれを売却して回収できるようにするための「物的保証」。不動産や預金、有価証券などが担保として使われます。
保証人 借り手が返済不能になった場合に、その代わりに返済を求められる人。中小企業やクリニックの場合、代表者が保証人となるケースが多く見られます。

10.保証(ほしょう)と根保証(ねほしょう)
保証 特定の債務(借入金)についてのみ保証する契約
根保証 一定の範囲内で継続的に発生する債務をまとめて保証する契約
極度額(上限)の保証範囲の中で将来的に発生する債務も含めて保証する契約のため具体的な借入金額が決まっていなくても契約が可能であり、商取引や継続的な借入契約(銀行との取引など)では一般的に使用されています。根保証契約をする際は、極度額、対象債務、保証期間を十分に確認のうえ、主債務者の状況について手段を確認しておくとよいでしょう。

11.単純保証と連帯保証
単純保証 債務者が返せなかったときに、保証人が支払う契約
連帯保証 債務者と同じ立場で責任を負う保証契約
単純保証と違い債権者はいきなり連帯保証人に請求でき、連帯保証人は先に主たる債務者に請求してくださいと言える『催告の抗弁権』はなく、また主たる債務者に財産があるから、そちらから差し押さえてと言える『検索の抗弁権』も認められていません。

12.プロパー融資と制度融資
プロパー融資 金融機関が独自の審査と判断で貸し出す融資。自由度は高いが、審査はやや厳しめ。
制度融資 国や自治体、信用保証協会などが支援する融資制度。新規開業や中小企業のための支援が多く、金利や保証条件が優遇されるケースがある。

13.借り換え(かりかえ)
借り換えとは、現在の融資条件よりも有利な新しい融資を受けて、既存の借入を返済することです。金利が下がったタイミングなどで検討され、返済負担の軽減が期待できます。ただし、借り換えにも審査があるため、誰でも利用できるわけではありませんし、不動産を担保に入れている場合では、抵当権の末梢と設定登記が必要となり、借り換えに係る費用を含めて借り換えを検討する必要があります。

知ってるつもりが…今さら聞けない? 融資の専門用語を解説します【専門家が解説】

おわりに

融資は、「借金」というイメージからネガティブに捉えられがちですが、正しく理解し、戦略的に活用すれば、事業や人生を加速させる強力な手段となります。
今回紹介した用語はあくまで基本の一部ですが、これらを押さえることで、金融機関とのやり取りや資金計画の精度がぐっと高まるはずです。
「今さら聞けない」ことはありません。分からないことがあれば、金融機関の窓口で遠慮せず質問してみましょう。
理解する姿勢こそが、信頼の第一歩です。

提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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