ただでさえまとまった休みの取りにくい医業、開業して経営者であればなおさらのこと。とはいえ旅の醍醐味「…

今回ご紹介する作品は、2019年3月発行の喜多川 泰18作目の書き下ろし小説『運転者〜未来を変える過去からの使者』。
昨今流行りのツタバ(=TSUTAYA+スターバックスの略)で、スタバコーヒーを飲みながら立ち読み(実際には座り読み)が出来る商業施設で、この本と遭遇。すぐに作品の世界に引き込まれ、”良書と出会う類まれなるセンス”に酔いしれながら速攻で読破した思い出の1冊です。

本作は、主人公であるさえない保険外交員の岡田修一と未来からの使者であるタクシー運転手 御任瀬卓志(おまかせたくし)の出会いとやりとりを描いた感動的な物語。
修一は生命保険会社に転職入社した中年の営業担当者。「完全歩合制」の給与体系は最初の1年は保証があるものの、その後は新しい契約を取らないと激減する厳しい世界。そろそろ次の新しい契約を取らないとと考えていたある日、10ヶ月前に飛び込みで入った20件の契約すべてが解約になってしまう・・・。
給与もボーナスも絶望状態の中、家族で計画していたパリへの旅行費支払いが間近に、そして家には不登校の娘や実家の母の心配も重なり、精神的に追い詰められる修一。
「なんで俺ばっかりこんな目に遭うんだよ」
思わず独り言を漏らす主人公修一の前に、1台のタクシーが止まる。それは乗客の「運」を「転」ずるという摩訶不思議なタクシー!!
運転手の御任瀬(おまかせ)は、修一に運は「使う・貯める」ものであると教え、自らの案内で修一の人生を変える場所に連れて行きます。修一はさまざまなチャンスが転がっていることを学びながら、自分の運を使いこなす方法を見つけていく。
修一が御任瀬から受けた最初のアドバイス
イライラしている人に、人は近づきたくないですよね。
運も同じで、不機嫌な人から逃げていきます。いつも上機嫌でいる人の周りに人は集まり、運もめぐってくる。
本作の名言
運はポイント制であり、後払いです。何もしないで、いいことが起こるはずがないんです!
運は<いい>か<わるい>で表現するもんじゃないんですよ。<使う><貯める>で表現するものなんです。
だから先に<貯める>があって、ある程度たまったら<使う>ことができる。周囲から運がいいと思われている人は、貯まったから使っただけです。
本作を読んで真っ先に浮かんだのは、パナソニックの創業者・松下幸之助が採用面接で必ず聞いたという一言。
『きみは運がいいか?』
運がいいんだと確信していれば、どんなことも受け入れて立ち向かう勇気と力が生まれてくる。だけど、運が悪いと思う人は・・・。
人間である以上、いつも上機嫌は難しいけれども、上機嫌でないとアンテナの感度は最大にならず、チャンスに気付くことが出来ない。このことを、修一の事例を何例も経ながら、まるで説法のように体感できます。その意味では、この本は小説の皮を被った自己啓発本!
ここまで読んで頂いた方は、この本のことが、かなり気になっているのではないでしょうか?
『思い立ったが吉日』という言葉があるように、人はいつでも行動や思考変化を生み出せるものです。自分の仕事の成果や家族との幸せなど、まずは自分に近いものから好転させて、より大きな大義に変化を生み出せると素敵ですね。
明日からは意識的に、上機嫌で行きましょう!!
- 著者:
シャープファイナンス プラットフォーム事業推進室
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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