ストレス社会の日本。なかでも医師は、人の健康・命を預かるというその性質上、高ストレスになりやすい職種…

※画像はイメージです/PIXTA
多忙な医師にとって、時間はなによりも貴重な資源です。このため、鉄道の遅延や車移動における交通渋滞のロスは、心理的に大きなストレスとなります。そのようななか、開業医の武井智昭氏は「ヘリコプター」を区分所有することで前述のストレス緩和を図ったといいます。ただ、実際に所有してみると、もちろん良いことばかりではないようです。「ヘリコプター所有」のメリット・デメリットをみていきましょう。
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都内→日光までわずか40分…時間ロスが激減
私がヘリコプターの利用・購入を決断した決め手は、「交通渋滞のストレス緩和」と「移動時間短縮」の2点に尽きます。
特に地方など、都心部からアクセスしにくい場所への移動においては、鉄道や車のみでは予測不可能な時間ロスが発生しがちです。この点、ヘリコプターであれば、そうした時間を大幅に短縮し、限られた時間を最大限に有効活用することができます。
たとえば、都内から日光へ出張する際、電車・タクシーを利用した場合は特急列車を利用しても3時間を要しますが、ヘリコプターであればわずか40分で現地にアクセスが可能です。
これに加え、ヘリコプター購入の意外なメリットとして挙げられるのが「税制上の優遇」です。
ヘリコプターは中古であれば購入費用を1年間で全額償却でき(新品だと5年)、この点は特に法人にとって大きな魅力です。単なる贅沢品ではなく、事業活動を円滑に進めるための「投資」や税制対策として捉えることで、購入へのハードルがいくらか下がるのではないでしょうか。また、ヘリコプターは1台を何人かでシェアする区分所有も可能です。

画像提供:著者
「移動手段」としてのメリットを最大限享受
筆者はヘリコプターを、年4回程度の頻度で利用しています。主な用途は、ビジネスでの移動と旅行です。特に、先述のように鉄道や車でのアクセスが困難な地方への移動や、限られた時間で複数の場所を効率的に移動する必要がある場合に重宝しています。
利用前から「便利」「快適」といったポジティブなイメージを持っていましたが、実際に利用してみると、その期待を裏切らない利便性を実感しています。
また、筆者は、ヘリコプターの管理を業務委託しています。これにより、所有に伴う煩雑な手続きやメンテナンスの負担を軽減し、純粋にヘリコプターの「移動手段」としてのメリットを享受できています。
管理会社によっては、高級会員制リゾートやサウナの利用、ヘリコプター利用時のリムジン送迎といった特典が付帯することもあり、これはヘリコプター所有の思わぬ付加価値といえるでしょう。
「費用対効果」が高い一方、思いがけない出費も
ヘリコプター所有におけるメリットをまとめると、下記のとおりです。
〈ヘリコプター所有のメリット〉
・圧倒的な移動時間の短縮……交通渋滞の影響を受けず、目的地へダイレクトに移動できるため、時間の有効活用が可能です。
・利便性……アクセスの悪い場所への移動も容易になり、ビジネスやプライベートにおける行動範囲が格段に広がります。
・費用対効果の高さ……特に法人においては、購入費用を短期間で償却できるため、税制上のメリットを享受できます。また、時間を金銭換算すれば、長期的には高い費用対効果が得られる可能性があります。
※償却期間は物件内容によって異なりますので、実際の償却期間は税理士などにご相談ください。
・付帯サービスの利用……管理会社によっては、高級リゾートの利用など、ヘリコプター以外の付加価値を享受できる場合があります。
一方、ヘリコプターの所有にはいくつかのデメリットも存在します。
〈ヘリコプター所有のデメリット〉
・高額な維持管理費……パイロットの人件費は1回3万円と、所感としては比較的安いと感じているものの、毎月の委託管理料、利用時の燃料費・保険料・保守点検など、定期的に発生する費用は決して安くありません。ただ、飛行を行ってもすべての費用は10~15万円程度と、通常の営業による運賃と比べて半額以下で済む点はメリットでもあります。
・償却資産としての管理……ヘリコプターは償却資産として扱われ、定期的な会計処理が必要です。このため、ヘリコプターを管理している都道府県に年4回、固定資産税を納付する必要があるなど、思いがけない出費もあります。
・行政手続きの煩雑さ……国土交通省への登記や、行政からの確認など、所有には専門的な知識を要する手続きが伴います。管理を委託しているとはいえ、オーナーとして把握しておくべき事項は少なくありません。
ヘリコプターは「単なる移動手段」ではない
筆者自身は、今後もヘリコプターの利用を継続していきたいと考えています。これまでの利用実績では東京→日光(40分)、東京→勝浦(24分)、東京→軽井沢(48分)、東京→初島(30分)と鉄道や船などの利用と比べて移動時間が7割以上もカットできており、その利便性を強く実感しているところです。
また、オーナー機であることから、飛行先の観光など、プライベートの都合を含めて出発時間に融通がきく点もメリットといえます。
今後も、会員制ホテルや別荘など、都心から離れたリゾート地や保養地への移動の際に積極的に活用したいと考えています。ビジネスだけでなく、ヘリコプターの活用はライフスタイルをより豊かにするうえで重要な要素となると考えます。
国内ではまだ馴染みの薄いヘリコプターですが、欧米では、ヘリコプターが1つの移動手段として一般的に活用されており、その利便性が広く認識されています。
ヘリコプターは、単なる移動手段にとどまらず、時間的・精神的なゆとりをもたらし、生活の質を高める価値の高いツールとして、今後さらに普及が進むのではないでしょうか。
- 著者:
武井 智昭
高座渋谷つばさクリニック 院長(編集:幻冬舎ゴールドオンライン)
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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