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透明性の高い不動産投資『REIT』とは?始め方とメリット・デメリット

透明性の高い不動産投資『REIT』とは?始め方とメリット・デメリット

※画像はイメージです/PIXTA

日本の不動産価格は高止まりの状況です。東京・銀座2丁目にある明治屋銀座ビル、わずか1㎡の地価が4,690万円に達するなど、一等地の価格上昇はとどまることを知りません。では、大富豪でなければ不動産に投資できないのでしょうか? ……答えは“No”です。15年間証券会社に勤務していたCFPの倉橋孝博氏が、透明性が高く、比較的安定した投資手段である『REIT(不動産投資信託)』を活用し、小額から優良物件に投資する方法を解説します。

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止まらない不動産価格の上昇…高騰し続ける日本の地価

4,690万円。これは東京・銀座2丁目にある「明治屋銀座ビル」のわずか1㎡の地価です。
インフレや海外からの投資マネー流入もあり、日本各地で商業地を中心に地価の上昇傾向が続いています。通常なら賃料の上昇で入居者が減りそうなものですが、実際にはそんな賃料などどこ吹く風。主要都市の一等地では今、路面店の出店が加速しているようです。
こうした高額な不動産を直接購入するのは現実的ではありませんが、REIT(Real Estate Investment Trust)を活用すれば、小口で優良物件に投資することが可能です。しかも、証券取引所に上場しているため、透明性と流動性が高く、管理の手間も不要です。

REITとは「不動産投資信託」と呼ばれ、投資家から集めたお金でビルやテナントを購入し、そこから得られる賃料収入や売却益などを還元する金融商品のことを指します。この仕組みはアメリカで生まれ、日本でも広く普及しています。
現在(11月20日時点)で日本には58種類のREITがあり、投資口価格は銘柄によって6万円台から30万円超まで幅があり、10万~20万円台が中心で購入ができます。

たとえ高収入な医師であっても大都会に建つ500億円のビルを購入することはまず不可能でしょう。しかし、REITに15万円前後投資するのであれば、それほどハードルは高くありません。
またREITは、通常の株式と同じように、東京証券取引所で売買が可能です。仮に数百億円するビルを売却しようとしても、すぐに買い手は現れず、売買の成立にはある程度の時間を要するでしょう。ところが、REITは取引所に上場しているため流動性が高く、売り買いも簡単にできます。こうした特徴は、不動産市場の活性化や多様な資産運用のニーズにもマッチしているといえるでしょう。

REITは金融商品ですが、理解するうえでは、会社と捉えたほうがわかりやすいかもしれません。トヨタは自動車を作る会社、ソニーはエンタメの会社、REITは不動産投資をする会社、といったイメージです。

REIT投資の始め方

次にREITの購入方法を解説します。
解説するといっても、REITの購入はとても簡単です。まずは株式投資と同じように「証券会社」に口座を開設します。

ここで注意すべきは、銀行等の金融機関ではREITは購入できないという点です。REITを購入したい場合は必ず証券会社に口座を開設しましょう。
口座開設後はREITを1口単位で購入できるほか、証券取引所が開いている時間であればいつでも売買が可能です。注文方法も、株式と同じように指値や成行で行うことができます。
これだけの手順で不動産投資家としての一歩を踏み出せるのです。

REITのメリット

前述のとおり、REITは1口15万円前後から投資できるので資金的なハードルが低く、流動性が高いという点が大きなメリットです。
また、ノウハウを必要とする不動産の維持管理や、立地によっては苦労する入居者募集について、REIT購入者は心配する必要がありません。ほとんどのREITが数千億円の資金規模で多くの優良物件を保有しており、維持管理業務を委託したり入居者が決まりやすかったりと、不動産投資家が頭を悩ませる問題が起こりにくいのです。
多数の物件を保有するREITであれば、一部の物件で空室があっても、他の物件で補えるため、分散投資の効果が働きます

そして最大のメリットは、その高い「分配金」でしょう。
日本取引所グループの「月刊REIT(リート)レポート(2025年10月版)」によると、58種類のREITの予想年間分配金利回りは平均4.53%となっています。定期預金の金利が0.25%前後ですから、依然として魅力的な数字といえるでしょう。

REITは収益の90%超を分配するなど、一定の条件を満たせば法人税がかからないため、利回りが高くなっています。しかもNISAの成長投資枠での購入が可能なため、高分配の恩恵がより大きくなっているのです。

REITのリスク・デメリット

ここまでREITのプラス面を中心に解説してきましたが、投資である以上もちろんリスクもあります。

REITはオフィスビルや商業施設、ホテルなどの不動産を保有するため、不動産市況や景気状況、それらの経営次第で値下がりすることもあります。投資元本は保証されていない点に注意が必要です。
また、最大のメリットである高い分配金も市中金利が上昇すれば相対的な魅力が薄れ、REITに売り圧力がかかってしまいます。さらに、賃貸収入が減少すれば利回りも低下します。新型コロナウイルス禍ではオフィスの空室率も上がりました。

最大のリスクは、地震や津波などの自然災害です。建物が損害を受けると不動産価値が下がるし、入居者も減ってしまいます。
しかし、ご存じのように日本の建築技術は非常に高く、2011年の東日本大震災でもREITが保有している物件で「揺れ」によって被害を受けたものはほとんどなかったとのことです。これはJ-REITの信頼性の高さを裏付ける事実といえるでしょう。

REIT投資を始める前に…銘柄選びのポイント

具体的な投資先を選ぶ際は、まず各REITが保有する物件の種類を確認しましょう。オフィスビル、商業施設、ホテルなど、どの分野に特化しているかを把握することが重要です。さらに、『特化型』か『複合型』かを確認し、可能であれば稼働率もチェックしましょう。

とはいえ、こうした情報をひとつひとつ収集していくのは容易ではありません。それでも、個別REITの公式サイトはわかりやすく整理されており、閲覧しやすいものが多くあります。
都心の物件だけでなく、地方都市のオフィスやホテルなども紹介されているため、投資対象をより具体的にイメージできるでしょう。

「日本トップクラスの不動産」で資産を守る

富裕層は、資産を『現金』『株』『土地』の3つに分ける資産三分法を実践するケースが多いとされています。この考え方は、異なる性質の資産を組み合わせることで損失を補い合えるため、大きなリスクに対応できるという理論に基づいています。
一方、筆者は現代に適した新しい三分法として、『金(ゴールド)・外貨』『株・投資信託』『不動産』を提案します。金はETFで購入でき、投資信託なら小額から投資可能です。例えば銀座などの、高額な都心の土地を直接購入するのは難しくても、REITを活用すれば不動産投資を手軽に始められます。

今でこそ投資信託によって小額からでも株式投資ができるようになってきましたが、大手企業の株式は相変わらず高いままです。ある程度まとまったお金があったとしても、魅力的な土地はとても手が出せるような地価ではありません。
日本各地で商業地を中心に地価の上昇が続く現状を踏まえると、積極的にREITを活用し、日本トップクラスの不動産に投資することは、大切な資産を守るための有効な選択肢といえるでしょう。

著者:
倉橋 孝博
株式会社くらはしFP事務所 代表取締役/編集、幻冬舎ゴールドオンライン
提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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