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【税理士が解説】クリニックの短期雇用形態における労務上の注意点ついて
画像はイメージです。
ギグワーカーを雇用する場合に押さえておくべきポイント
クリニックにおいても、最近は短期雇用形態のギグワーカーを雇用するケースが増えてきています。このような状況下において、クリニック側が押さえておくべき労務上の注意点について解説していきたいと思います。
ギグワーカーには社会保険加入義務はあるのですか?
はじめに、ギグワーカーは社会保険加入が必要なのかという点について触れていきます。
ギグワーカーには3つの分野があり、そのうち①「単発の労働者(単発の仕事を請け負う目的で登録している人)」は、社会保険の加入は不要とされています。しかし、半日や一日単位ではなく、②「派遣社員」や③「アルバイト」として働く場合には、勤務期間、勤務日数および時間等に応じて社会保険の加入が必要となるケースがあります。
したがって、クリニック側がギグワーカーを雇用する場合は、必ずその人がどの立場で働くのかを明確にし、その立場に応じた社会保険の加入義務を遵守する必要があります。
では、有給休暇の適用はされるのでしょうか?
次に、有給休暇の扱いについて考えてみましょう。
①「単発の労働者」は適用外となりますが、②「派遣社員」や③「アルバイト」については、労基法によると短期間の雇用であっても、定期間勤務すれば有給休暇を付与することが明確に定められています。
したがって、クリニック側がギグワーカーに対して適切に有給休暇を与え、そしてその求職者に対して、有給休暇がどのように扱われるかについて説明することが重要です。
ちなみに、労働保険の適用はいかがでしょうか?
また、ギグワーカーに対する労災保険の適用についても注意が必要です。
労災保険は、労働災害や通勤災害による怪我・疾病に対する給付金や治療費の補償制度です。②「派遣社員」や③「アルバイト」は労災保険の適用はありますが、①「単発の労働者」は適用外となります。
クリニック側は、ギグワーカーと雇用契約を締結する前に、どのような補償があるかを十分に確認することが重要となります。
以上のように、短期雇用形態における労務上の注意点は多岐にわたります。
クリニック側は、自らが遵守すべき法律に加え、ギグワーカーに対して適正な待遇を与え、必要な保険料や手続きを行うことで、安心して働く環境を提供することが求められます。
短期雇用形態における労務上の注意点
次にクリニックの短期雇用形態における労務上の注意点ついてまとめました。
- 契約書の確認:雇用期間や労働時間、賃金、福利厚生などの契約内容を確認し、明確にする。
- 労働法の遵守:短期雇用であっても労働法に違反しないよう、必要な労働条件や休暇などを遵守する。
- 保険の手配:短期雇用でも、雇用者は労働者に対して社会保険や健康保険などを提供する必要があり、事前に手続きを行い、必要な保険に加入する。
- 慣れない作業に対する事前教育:短期雇用者は、通常のスタッフと比較して慣れていないため、作業に対する詳細な説明をする。
- 報告と正確な記録:労働者の出勤状況や作業内容を正確に記録しておき、雇用期間の評価や給与などを決めるための参考にする。
- 終了手続きの準備:短期雇用の終了時は、雇用期間中の成果評価や条件変更などについて話し合い、正式に手続きを行う。
今後、クリニックの短期雇用形態は状況によって大きく変化する可能性がありますが、短期雇用の需要は高まる傾向にあります。
クリニックでは、忙しい時期やスタッフの急な欠員補充などで短期的な人材需要が生じるため、短期雇用は必要不可欠です。また、コロナ禍においても、感染防止の観点からスタッフの一時的な離脱が増え、短期雇用が求められる可能性もあります。
しかし、短期雇用形態においても、適正な労働条件や待遇を整備することが重要であり、社会的な問題も浮き彫りになってきており、今後は、適正な状況での雇用形態の整備や、働き方改革の進展に合わせた短期雇用の見直しが求められるかもしれません。様々な慣習・規定・法律などが混在するので専門家に相談するのがベターだと考えます。
- 著者:
大沼田 正樹
税理士法人大沼田経営会計事務所 代表社員
昭和47長野県塩尻市生まれ。明治大学商学部卒業。税理士、社会保険労務士、行政書士。
1963年に長野県の塩尻市に先代の大沼田實が事務所を開設、2005年に法人化し、関東甲信越を中心に法人約300件、個人約260件の顧客を持つ。特に節税対策に力を入れ、お客様は年々増加。相続対策にも力を入れ1000件以上の相談を受ける。
税務署OBも在籍しており、税務調査にも強く県外からの問い合わせも多い。
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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