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メルセデス・マイバッハ『EQS 680 SUV』(画像提供元:メルセデス・ベンツ日本)
1886年にカール・ベンツとゴットリープ・ダイムラーによって自動車が発明され、今日に至るまで最先端の技術でリードしてきた『メルセデス・ベンツ』。その歴史は、自動車の歴史といっても差し支えないでしょう。そんな同社の最上級ブランドであるマイバッハ初となる電気自動車(EV)が日本に上陸しました。メルセデス・ベンツが持つ電動化へのこだわり、またマイバッハの魅力について、カーライターの三木宏章氏が解説します。
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至高のラグジュアリーカー『EQS 680 SUV』

[画像1]メルセデス・マイバッハ『EQS 680 SUV』のサイドビュー(画像提供元:メルセデス・ベンツ日本)
2024年8月1日、メルセデス・ベンツ日本から最上級ブランド『メルセデス・マイバッハ』として初のEV『EQS 680 SUV』が発売されました。ベースはメルセデス・ベンツ『EQS SUV』ですが、高級感のある専用フロントマスクやツートーンペイント、アルミホイールなど、ラグジュアリーな雰囲気はひと目でマイバッハとわかるものとなっています。価格は、ベースモデルのEQS SUVが1,549~2,012万円なのに対して、マイバッハEQS 680 SUVは2,790万円です。
マイバッハ初となるピュアEVのパワートレインは、最高出力658ps(484kW)、最大トルク955N・mを発揮。バッテリー容量は118kWhで、WLTCモードでの一充電走行距離は640kmとなっています。充電は、6.0kWまでの交流普通充電と、150kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)に対応し、150kWタイプ急速充電器であればバッテリー残量10%から80%まで54分でチャージ可能。さらに停電した際には家庭にも電力を供給できるため、災害時にも役立ちます。
また、初めてEVを購入する場合、アフターサービスも気になりますが、新車購入から5年間または10万kmの一般保証修理/定期メンテナンス/24時間ツーリングサポートが無償で受けられる保証プログラム『EQケア』に加え、10年または25万kmの高電圧バッテリー保証(残容量70%)、さらに充電サービス「Mercedes me Charge」など、万全の体制が整えられています。ただ、これらの内容は、マイバッハに限ったものではなく、メルセデス・ベンツであれば当然の内容といえるでしょう。
メルセデス・ベンツは、早い段階からEV化を推進してきました。現在は、情勢の変化とともに「2030年の新車販売全車EV化」を撤回していますが、EVやPHEVの開発を積極的に進め、現在では『EQA』『EQB』『EQE Sedan/SUV』『EQS Sedan/SUV』『G-Class』と電気自動車(EV)、さらにプラグインハイブリッド車(PHEV)も多数ラインアップしています。ガソリンエンジン車を世に送り出し、電気自動車の世界でも時代をリードしている自動車メーカーがメルセデス・ベンツなのです。
なぜ、マイバッハが特別な存在なのか?

[画像2]メルセデス・マイバッハ『EQS 680 SUV』のリアビュー(画像提供元:メルセデス・ベンツ日本)
ここまでは、EQS 680 SUVの概要と、メルセデス・ベンツと電気自動車について紹介しましたが、そもそも「マイバッハを知らない」という読者もいるのではないでしょうか? そこで簡単にマイバッハというブランドについて解説します。
メルセデス・ベンツには2つのサブブランドがあり、それが『メルセデスAMG』と『メルセデス・マイバッハ』です。どちらもメルセデス・ベンツに属していますが、AMGは“究極のパフォーマンスカー”であり、メルセデス・マイバッハは“洗練されたラグジュアリー”と異なるテーマを持っています。
たとえば、王族や貴族に愛される、英国発祥の自動車メーカー『ロールス・ロイス』や『ベントレー』であれば、ご存じの人も多いでしょう。これらと並ぶ、雲上のラグジュアリーカーブランドが『メルセデス・マイバッハ』というわけです。
余談になりますが、ロールス・ロイスは2023年に初のEV『スペクター』を発売し、ベントレーも2026年に電動SUVを発売するとアナウンスしています。従来の超高級車は大排気量エンジン+重量級ボディという組み合わせが定番でしたが、現在ではそんな常識も過去のものになりつつあります。
徹底したマイバッハのこだわり

[画像3]メルセデス・マイバッハ『EQS 680 SUV』を象徴するツートーンカラー(画像提供元:メルセデス・ベンツ日本)
EQS 680 SUVは、メルセデス・ベンツのラインアップにあるEQS SUVをベースにしたモデルですが、随所に“マイバッハのこだわり”が詰まっています。
外観でいえば、メルセデス・ベンツのアイコンである“スリーポインテッドスター”のマスコットをボンネットに装着し、その下(ランニングボート)やDピラーにメルセデス・マイバッハのエンブレムを配置。さらにフロントバンパーのエアインテークフロントサイドスカートにマイバッハパターンをあしらうことで特別感を演出しています。そのほかにも専用デザインの22インチアルミホイール、曲線的ならせん構造のLEDリアコンビネーションランプなどもベースになっているEQS SUVとは異なる点です。
また、ボディカラーについては、標準で6色(オブシディアンブラック、セレナイトグレー、ハイテックシルバー、エメラルドグリーン、ソーダライトブルー、ベルベットブラウン)のほか、オプションカラーの2色(アルペングレー、オパリスホワイト)、さらにマイバッハらしいツートーンペイントも設定。ちなみにツートーンペイントは、職人の手作業によって施工されます。

[画像4]メルセデス・マイバッハ『EQS 680 SUV』。サステナブルな方法で加工されたナッパレザーを使用したインテリア(画像提供元:メルセデス・ベンツ日本)
一方のインテリアは、EQS SUVのデジタル技術に加え、マイバッハ専用のモチーフをインテリアトリム/ウッドステアリング/足元のペダルに採用することで特別感を演出。インテリアカラーは、3色の内装色と3種類のウッドパネルの組み合わせから選択が可能。さらにダッシュボード全体を覆うMBUXハイパースクリーンを標準装備し、イグニッションをオンにすると“MAYBACH”の文字が浮かび上がる仕掛けも組み込まれています。

[画像5]メルセデス・マイバッハ『EQS 680 SUV』。標準仕様の後席(画像提供元:メルセデス・ベンツ日本)
さらにEQS 680 SUVでは、メルセデス・ベンツの電気自動車モデルでは採用されていない、ナッパレザーをシート表皮などに使用。このナッパレザーは、コーヒー豆の殻をなめし材の原料として使用した、サステナブルな素材になっています。そのほかにもEQS 680 SUVは、各所に再生可能な素材を使用しています。

[画像6]メルセデス・マイバッハ『EQS 680 SUV』。ファーストクラスパッケージを追加した後席(画像提供元:メルセデス・ベンツ日本)
さらにEQS 680 SUVでは、オプションとしてファーストクラスパッケージを選ぶことで、左右後席が独立した空間になります。独立した左右後席の間には、専用シャンパングラス収納部と、脱着可能な大型クーリングボックスが備わり、センターコンソールには格納式テーブルと温度調整機能付きカップホルダーを配置。標準使用でもシート便利レーターを備えていますが、ファーストクラスパッケージを追加するとセンターアームレストヒーターも装着され、より快適な空間となります。
マイバッハならではの“走り”の楽しみ

[画像7]メルセデス・マイバッハ『EQS 680 SUV』。(画像提供元:メルセデス・ベンツ日本)
走行モードは、『ECO』『SPORT』『OFFROAD』『INDIVIDUAL』のほか、EQS 680 SUV専用の『MAYBACH』を用意。これは従来の『COMFORT』に変わる走行モードで、ショーファーカーであるEQS 680 SUVのために設計された、後席乗員に快適な乗り心地を提供するためのプログラムです。
また、オーディオには、15個のスピーカーで4次元サウンドを生み出す、Burmester4Dサラウンドサウンドシステムを標準装備。このサウンドシステムは、音楽や映画などを楽しめるだけでなく、疑似的に走行音などを再現する機能が特徴です。
本来であれば無音のEVですが、マイバッハEQS 680 SUVには、専用に作成された音響体験『Aeril Grace』が搭載されています。これは、アクセルペダルの位置や速度、回生などのパラメーターに合わせて、リアルタイムで算出した走行音を流すギミックです。これも、“走り”を重んじるメルセデス・ベンツおよびメルセデス・マイバッハのこだわりを感じる部分でしょう。
これだけのこだわりが詰まったメルセデス・マイバッハEQS 680 SUVが2,790万円というのは、決して高いプライスではないのではないでしょうか? たとえば、ロールス・ロイスのEV『スペクター』は、パワーユニットについて最大出力585PS、最大トルク900N・mと、スペックはマイバッハと同等ですが、価格は4,800万円です。こういった超高級車は、一種の工芸品的な側面もありますが、EQS 680 SUVは移動に優雅な時間をもたらしてくれることでしょう。
- 著者:
三木 宏章(編集:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン)
合同会社コンテンツライト代表取締役社長
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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