『snaq.me office (スナックミーオフィス)』を提供している株式会社スナックミー様より、…
※画像はイメージです。
長い期間をかけることでリスクコントロールがしやすく、初心者でも安心して投資をすることが出来る長期投資。2024年から新NISA制度の導入も迫っており、運用できる商品の幅も広がりを見せています。その一方で、「話題になっているけど正直よくわからない・・・」という方も実は多いのではないでしょうか。
そこで今回から前編・後編の2回にわたり、長期投資のプロである澤上龍さん(さわかみ投信株式会社・代表取締役社長)の最新刊『理想の投資と結婚する方法』から、あらためて知っておきたい長期投資の心構えについて解説いただきます。
本書を出版したきっかけ
ここ15年ほど、株価が世界的に上げ相場なので、そのおかげでみんな上昇基調に乗れてしまっています。つまりは日本人の多くに、「とりあえず投資しておけばかならず儲かる」という間違った思い込みがあるのです。
ところが投資とは、上がる時もあれば下がる時もあるというのが本質です。いずれは下げ相場だとか、暴落といった状況変化がかならずやって来ます。すると、今、投資をしている人や始めたばかりの人たちが、つらい思いをすることになります。そうした人たちに、「投資ってホントはこういうもんじゃない?」とか、「投資には生き様が出るよ」ということを、思いを込めて伝えたかったのが出版の理由です。
投資は結婚と同じである!
投資どころか消費もそうです。どれを選ぶかによって、その人の本質や生き様が出るものです。これはもう、全部出てしまいます。
「それをわかっていない人が多すぎるんじゃないですか?」ということです。生きることと儲けることは全然違うように思えますけど、この二つはまったくイコール。だからこそ、自分の本質や生き様にマッチした投資先を選ぶことが大切なんです。
私は、投資は結婚と同じと言っています。「年収」「見た目」「学歴」等々、配偶者を選ぶ際に気になるところはいろいろあるけど、いい結婚生活を送りたいのなら、こうした上辺だけを見ていると失敗します。大切なのは、一緒にいて楽しいか、ともに成長していける人かどうかでしょう。自分の本質や、生き方にマッチした相手であるか否かということです。さらには双方に「やさしさ」がなければダメです。こうして慎重に考えて選んだパートナーとの結婚は長続きするし、いい結婚生活になるはずです。
「何を買っても儲かる」でなく「何を買えば損をしないか?」
「儲かればいい」と株価で選ぶのも正解の一つなのか? そう思われる方もいると思います。それはここのところ、世界中が上昇基調で、何を買っても儲かったからでしょう。これから相場が厳しいものになって、「何を買っても儲かる」でなく「何を買えば損をしないか?」になれば、いろいろ考えるようになると思います。
面白いものでこうしたマインド変化はすでにあらわれていて、「儲かればいい」という現在の投資のトレンドとは逆方向の、ESG投資とかインパクト投資といったアンチテーゼみたいな投資が増えてきているんです。
たとえばESG投資ですが、これはEnvironment(環境)のEとSocial(社会)のS、Governance(企業統治)のGの頭文字をとったもので、こうしたことをしっかりと考えている企業に投資しようという動きのことです。インパクト投資とは、これまでリスクとリターンの2つで語られてきた投資への価値判断に、「インパクト」という第3の軸を取り入れようというというもの。企業の事業が社会や環境に与える変化や効果を考えて、財務的なリターンとともに、社会的なリターンも考えた投資をしようよという動きです。環境や社会への「やさしさ」を感じさせるトレンドです。
ただほとんどの人にとり、投資の目的はまだまだ儲けが第一で、投資の責任というものまでは語られていません。そうした中でも、すでにこうした動きが出てきています。そしてこれは、投資の正しいあり方です。儲けを狙うにしても、ESG投資とかインパクト投資のほうが、より良い儲け方だと思います。
「これ!」と思う投資先と、お付き合いしよう
確かにESG投資やインパクト投資は成果に時間がかかります。投資はギャンブルじゃないからです。
だって、身長が明日になったら倍になるなんてこと、決してない。企業の成長も同じです。企業価値が昨日と今日で極端に変わるなんてことは、ありません。
ですから昨日今日でポーンと儲けようっていうのは無理。この場合の無理っていうのは不可能という意味じゃなくて、無理矢理の無理って意味で、これでは投資ではなくてギャンブルになってしまいます。
成長に応じて利益が分配されることを投資というなら、その成長はやはり10年単位。であればこそ、結婚するつもりで腰を据えて投資先を見て、長く、じっくりとつきあうことが大切になるわけです。
そして「これ!」と思う投資先を見つけたら、まずはおつきあいや同棲してみるべきですね。つまりは投資にトライしてみることです。10人の異性とおつきあいしたら刺されちゃうけど、投資だったら10社に投資したとしても、決して刺されたりしませんから。
理想の投資先の見つけ方
ESG投資やインパクト投資にトライしようにも、理想の投資先を見つけるのが難しいという声もありますが、投資の本質がわかればそれほど難しくないと思います。
例えば、学会などで会場に向かうときにどういった交通手段を使いますか? 電車ですか? もし突然雨が降ってきたらどうしますか?タクシーを使う?
タクシーというサービスがあればこそ、1000円とか2000円ぐらいで来られるわけです。寒空の中、暖かいタクシーの中で快適に向かうことができますよね。
企業があればこそわれわれの生活が成り立つのであって、企業抜きに生活は成り立たない。そしてそんな企業にわれわれが関与する方法が、投資なんです。
さらにはどんな社会も課題というものを抱えていますが、その社会課題に立ち向かっているのも企業です。われわれは、消費とか投資を通じて社会課題に立ち向かっている企業を応援することができるわけです。そしてこれこそが「投資の本質」だと思っています。
応援したい企業を増やそう
「理想の投資先」の見つけ方なんて、簡単です。生活感で考えて、好きになれたり、感心できる企業を選べばいいんです。
「このレストラン、いつもおいしいしサービスもいい。大好き!」って店、誰でもあるじゃないですか。そのレストランで食べつづけたいのなら、レストランに行くことで支えることが出来ます。
理想の投資先選びも同じ。環境・社会・ニーズとか、企業が社会課題に関与している分野はいろいろありますが、その中で「これがなくなったら困るな」「この企業のこれには助けられているな」「この企業が頑張ってくれるといい世の中になるな」と、感心させられる製品やサービスを提供している企業を選べばいいのです。
よく「企業」「投資家」「消費者」と分けて語られますが、消費者だってどこかの企業に属しています。企業と消費者は表裏一体というか、まったく同一のものと考えられますし、「投資家」って言うけれど、投資家は消費者でもあり、その投資家兼消費者が投資している先が企業です。つまり企業も投資家も消費者もすべて同一であり、そのすべてを経済と言っているわけなんです。
そしてそんな経済を海にたとえるとしたら、経済という大海原で、波に乗ろうとザワザワしているのが投資家。ですが今言った通り、経済は表裏一体、すべてが同一なもの。そんな中で儲けたいのなら、一か八かのギャンブルに虎の子を費やすよりも、海の水量そのものを増やす、つまりは企業を応援して社会全体を良くし、経済そのものを活発にする方に賭けるほうが、よっぽど合理的なんです。
後編は近日公開予定。新NISAや「老後の生活費2,000万円問題」について解説していただきます。
- 著者:
澤上龍
【さわかみ投信株式会社】代表取締役社長
1975年千葉県生まれ。2000年5月にさわかみ投信株式会社に入社後、ファンドマネージャー、取締役などを経て2012年に離職。その間2010年に株式会社ソーシャルキャピタル・プロダクションの創業、2012年にウルソンシステム株式会社の経営再建を実行し、2013年にさわかみ投信株式会社に復帰、1月に代表取締役社長に就任。
現在は、「長期投資とは未来づくりに参加すること」を信念に、その概念を世の中に根付かせるべく全国を奔走中。コラム執筆や講演活動の傍ら起業や経営の支援も行う。株式会社ソーシャルキャピタル・プロダクション代表取締役社長、株式会社Yamatoさわかみ事業承継機構取締役なども兼務。
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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