院長が高齢化し、医療業界においても「後継者不足問題」が深刻化しています。後継者が不在の場合、従来は廃…

※画像はイメージです/PIXTA
クリニックを開業するにあたり、一番気になってくるのが全体のスケジュール。様々な工程があるものの『どれから進めておけばいい?』とお悩みの方も多いのではないでしょうか。どのような開業のケースにおいても、事前にしておくべき準備や段取りはある程度決まっています。そこで今回は、開業に向けて必ず検討すべきことについて、開業12か月前(1年前)~開業後2か月目までの具体的なスケジュールを交えて、事前に押さえておきたいポイントについて解説します。

※開業のための全体スケジュール(開業12か月前~開業後2か月後まで)
【1】開業6か月前までに行う事項
ーー医療方針確定~テナント契約(不動産購入)

開業したい時期が決まっているならば、遅くともその1年前から開業準備に取り掛かることをお勧めいたします。このうち特に重要な事項が「立地の選定」と「銀行との融資交渉」です。
「立地の選定」はクリニックの行く末を左右しますので、集患を見込める立地の選定が必要となります。また「銀行との融資交渉」の際には、先生のイメージを数値に落とし込んだ事業計画書を作成する必要があります。
【2】開業2か月前までに行う事項
ーー医師会加入手続き~従業員研修

インターネットが普及した現在、患者の多くはインターネットを通じて医療機関の情報を入手しています。開業にあたっては、見やすいホームページを作成し、情報発信を行うことで集患を試みる医療機関もございます。なおホームページ作成にあたっては、「比較優良広告」、「患者の主観に基づく体験談の広告」、「誤認の恐れがある治療等の前・後の写真の広告」などについては規制されているため、掲載内容について十分な注意が必要です。
【3】開業2か月~開業直前に行う事項
ーー面接実施~内覧会の実施

保険診療を行う場合には、厚生局に「保険医療機関指定申請」の提出が必要です。所定の期限内に「保険医療機関指定申請」ができていないと、保険請求を行うことができませんので、手続きの期限についてご留意ください。
(※1)市町村により異なります。
【4】開業後に行う事項
ーー税務手続き、社会保険・労働保険手続き

開業される際には、税務関連や社会保険・労働保険関連の手続きを行う必要がございます。各手続きごとに期限が定められていますので、ご留意ください。
(※2)以前より不動産所得や事業所得がある場合には、開業した年の3/15までが提出期限となります。
いかがでしたでしょうか。
開業までには多くの事項を遂行する必要があります。どの事項も重要ですので、不安に感じられる先生方は税理士などの専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。
- 著者:
日本クレアス税理士法人
執行役員/中川 義敬 税理士(近畿税理士会所属)
【経歴】2007年税理士登録、2009年に日本クレアス税理士法人入社。
現在に至るまで、東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等に従事。
医院の新規開業支援、会計税務、医業承継・相続対策など、個人医院から大病院までをサポートしてきた医療分野での高い経験を生かすため、2019年7月大阪本部 本部長に就任。現在に至る。
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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