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【徹底解説】クリニック事業承継とは?

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【徹底解説】クリニック事業承継とは?

画像はイメージです。

クリニックに事業承継という選択肢を

開業から20年、30年という長い年月が経過し、次のステージが必要なクリニック。
同族承継や閉院という選択肢に加えて、事業承継という選択肢があります。
事業承継が必要な理由、メリット・デメリット、事例紹介まで、徹底解説します。

1.クリニック事業承継が必要なワケ

●病院の減少とクリニックの増加

近年は病院が減少して、クリニックが増加しています。
病院の減少が続く要因の1つは、厳しい経営環境だと言われ、特に、入院料が主な収入源である、内科や外科を標榜する病院では、高水準の病床稼働率を維持できない限り、安定的な経営が難しいと言われています。

出典:厚生労働省「令和3(2021)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況」
   https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/21/dl/02sisetu03.pdf

●医師が供給過剰になるかも

国内の医師数が2020年末時点で33万9,623人と過去最多を更新しました。

OECD(経済開発協力機構)加盟国平均の人口10万人当たりの医師数が295人(2019年)に対し、日本国内の人口10万人当たりの医師数は、259人(2018年)です。OECD加盟国平均に満たない状況では、医師は供給不足の状況と言えます。

しかし、医師数の増加と、人口の減少の結果、人口10万人当たりの医師数は、2028年には、OECD加盟国平均を超え、供給過剰の状況に突入すると予想されています。

出典:厚生労働省「医療従事者の需給に関する検討会第35回 医師需給分科会 資料」   https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000665176.pdf

●医師も多様な働き方が求められる時代へ

医師には病院以外にもさまざまな働き方があります。固定観念に囚われず、新たなアイディアで日本中の医療をカバーしていかなければなりません。過疎が進んだ地域にも医療は必要で、廃業によるクリニックの消失は地域住民にとって大きな損失となっています。

過疎地域といっても地方都市の中心部から通勤圏の地域もあり、収益性の高いクリニックも多く存在します。このようなクリニックを事業承継し、生活の拠点は中心市街地のまま、郊外のクリニックに通勤するのも後継者不在問題解決の一案といえるでしょう。

この様な時代背景にあるからこそ、医師の多様な働き方や患者ニーズに適応して、新たな選択肢としてクリニック事業承継が伸長しています。

2.メリット・デメリット

クリニックの事業承継とは、既に開業しているクリニックを引き継ぎ運営することを指します。
クリニックを承継する側から見た一般的なメリット・デメリットをご紹介します。

メリット① 初日から利益をあげることができる

通院中の患者さんもクリニックと一緒に引き継ぎ、初日から利益をあげることが可能です。

メリット② 初期費用の削減が期待できる

既存の内装や医療機器等をそのまま引き継ぎ、新規開業の場合と比較して開業にかかる初期費用を低く抑えることができます。

メリット③ 収支の見通しが立ちやすい

クリニックの事業承継ではこれまでの患者数・売上・費用等の実績があるため、事業の見通しが立ちやすいです。

メリット④ 患者さんへの安心感に繋がる

通い慣れたクリニックが存続するため、地域の患者さんに喜ばれます。

デメリット① レイアウトなど内装の変更が難しい

テナント区画や建物の構造上、レイアウトや内装の大幅変更は難しい場合が多いです。
ある程度妥協することも選択肢に入れながら、内見時に確認します。

デメリット② 前院長の方針と合わないこともある

前院長と新院長の診療方針と著しく異なる場合には、患者さんやスタッフからの反発も想定されます。前院長と新院長がそれぞれから、周囲に対して自身の考えをしっかりと伝える必要があります。

3.クリニック事業承継の流れ

クリニック事業承継の流れを具体的に説明させていただきます。

●譲渡理由を明確にしておく

まず初めに、理由や想いを整理しておく必要があります。

譲受側にも希望地やテナント規格など要望がありますので、譲渡することを決めたからといって直ぐに譲渡できるわけでもありません。

ご自身が実現したい事業承継のコンセプトをしっかり持っておけば、長期戦になっても妥協することなく当初に思い描いた事業承継が可能となります。

●仲介会社(専門家)へ相談をする

譲渡先のクリニックを自分で見つけるのは困難ですし、仲介会社は複数の承継案件情報を持っていることが多いので、より良い条件での譲渡に向けて、選択肢の幅が広がります。

●業務委託契約書(秘密保持誓約)を締結する

依頼する仲介会社が決まったら業務委託契約書を結びます。契約書は、依頼する仲介会社の業務内容、業務手数料や報酬体系等について定めた契約になります。

●候補先を選定する

譲渡の相手方となる、候補先を選定します。事業承継の中で一番時間を要するフェーズであり、数か月で相手が見つかる場合もありますが、なかなか見つからず、数年を要する場合もあります。

●トップ面談・内見

選定した候補先の中から、代表者同士の面談とクリニックの内見を実施します。クリニックの内装・雰囲気・医療機器を見せて、お互いの意思を確認します。

現在の診療方針を直接伝えることで、候補先にとっては、スムーズなバトンタッチを見極める判断材料になります。

●基本合意書を締結する

相手先が決まったら、細かい条件の調整を行います。承継時期やスタッフ・契約関係の引き継ぎなどを決定していきます。条件内容を盛り込み基本合意書を締結します。基本合意書の時点では一般的に法的拘束力を有しません。

●買収監査を受ける

基本合意書締結後に買収監査が実施されます。
買収監査とは、相手方の仲介会社や顧問税理士が実施する手続きで、承継するクリニックにリスクがないか、財務情報の数字が適正であるかなどを調査することです。

後々のトラブルを回避する意味でも、クリニックの現状をありのまま伝えるようにしましょう。

●最終譲渡契約書を締結する

買収監査の結果を踏まえて、諸条件を最終調整した後、双方が合意した内容で最終譲渡契約書を締結します。

4.クリニック事業承継事例紹介

事例1:経営者として経営をすることは体力的に厳しくなってきたため、経営権を承継したいが、従業員として勤務は継続したい。

残留型で承継することも可能です。実際に残留する場合の条件を明示しながら、承継先探しを行うことで、条件を受け入れてくれる承継先を見つけることができます。

クリニック運営の悩みから解放され、より診療にウェイトを置いて、働きたい場合に有効な手段です。

事例2:ドクターが突然体調を崩し診療を継続して行えなくなってしまった

経営者でもあり、外来の大半を診ていた医師が体調を崩し、診察が継続できなくなったため、譲渡を検討したいが相手は直ぐにみつかるか。

一度診察を休診にしてしまうと、大切な患者さんとスタッフが離れてしまい、事業承継が難しくなってしまいます。そうならない為に早めに承継について相談いただくことが重要です。

事例3:従業員の離職が続き経営を維持できない

従業員の離職を防ぐ為に様々な施策をとっているが、苦労が絶えなく、経営の継続が困難になっている。

医療業界も慢性的な人材不足です。人材の確保に苦労されているクリニックは多くいます。従業員数の多い医療法人では、採用に独自のルートを持ち、採用に関して優位な法人もいます。事業承継により、ある程度規模の大きなグループの傘下となることで、グループ内での人材の最適配置が可能となります。
また、人事機能を本部に任せることができれば、採用や人材管理の悩みから解放されます。

5.ソリューションとしての事業承継

複雑に入り組んだ、外的環境、内的環境の中でクリニックが経営されていることがお分かり頂けたと思います。事業承継は、様々な環境の中で課題を解決できるソリューションです。

現在抱えているお悩みは、事業承継によって解消され、将来への不安からも解放されるかもしれません。シャープファイナンスでは、事業承継という手法によって多くのクリニックの持続的、安定的な維持、発展を支援していきます。

著者:
シャープファイナンス株式会社 医療マーケット企画部 
Medical LIVES事業室 事業承継推進担当
提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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