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「働き方改革」なんて夢のまた夢…現役医師が暴露した「やりたくない仕事」5選

「働き方改革」なんて夢のまた夢…現役医師が暴露した「やりたくない仕事」5選

画像はイメージです

昨今、医師の残業や過労死が問題となっています。2024年4月から勤務医の時間外労働は月80時間と上限が設けられるものの、医師の働き方改革は他の業種に比べ4年~5年遅れているのが現状です。今回は、そんな多忙な医師を苦しめている具体的な仕事内容と、考えられる対策について現役の医師が解説します。

※特定を避けるため(プライバシー保護の観点から)情報を一部変更しております。

多忙な医師を苦しめている「事務仕事」

医師の仕事といえば、臨床業務の場合患者さんへの診療、手術や検査、病状説明などが主だと思われがちですが、実際にはこれ以外にも多くの書類作成業務が付随しています。

書類作成やカルテ入力などは、「医療クラーク」が代行することで省力化される傾向にあるものの、診断書など医師が記載しなければいけない書類もその数が増加しており、複雑化しています。

さらに開業医の場合には、これらに加えて日常的な業務に「診療報酬請求」や「公費請求」、経営の月次報告、人事などのマネージメント業務も含まれます。

厚生労働省の資料(※)によると、医師の時間外労働が生じる理由としては、「診断書やカルテ等の書類作成のため」が57.1%で最多となっています。次いで「救急や入院患者の緊急対応のため」、「患者(家族)への説明対応のため」が続いており、事務仕事が時間外業務を圧迫していることがわかります。
(※)厚生労働省「平成30年版過労死等防止対策白書」より

そこで今回、医師として「正直やりたくない仕事」を5つ挙げていきます。

医師の負担が大きい「事務仕事」

時間外業務を余儀なくされる事務仕事の例としては、以下が挙げられます。

1.「介護保険主治医意見書」の記載(主に内科系)

こちらは、作成量としてはA3の紙1ページ分ですが、患者さんの症状についての医学的な観点というよりは、高齢者としての生活機能や筋力、麻痺・関節の評価、認知症が疑われる場合その周辺症状(徘徊、介護への抵抗、昼夜逆転等)など、どちらかというと介護や看護に関連した事柄について細かく記載する必要があります。

この作業を省力化する方法として、あらかじめ患者さんのご家族に質問事項のひな型を渡して書いてもらい、それを転記するという方法もありますが、慣れていても1人につき5分を要します。

2.「入院診療計画書」・入院患者の退院時に要約作成

「入院診療計画書」は、病状が判明しなくとも7日以内の作成と交付を義務づけられているため、迅速に作らなければいけません。また、入院患者が退院した際には、万が一退院後に具合が悪くなった場合に備え、その患者さんの情報についてなるべく早く「サマリー」を作成する必要があります。

こちらは主に研修医が担う業務ですが、繁忙な病院であればあるほど、雪だるま式に溜まってしまう業務となっています。

3.手術記録、患者家族への病状説明の記録(主に外科系)

外科系の診療科においては、正確・かつ迅速に手術記録を作る必要があります。こちらは、手術による身体的な疲労のなか作成する必要があるため、時間外労働の温床となっています。手術時間が長いほど記載事項も多く、またイラスト・写真を用いるためにアートのセンスも求められます。

4.交通事故の診療とその後のやり取り(外科系)

外科系救急を行っている医療機関では、交通事故の救急搬送も多いです。こうした場合、治療費に際して、自賠責保険用の診断書と診療報酬明細書の作成を求められます。

さらに、交通事故の場合、保険会社とのやりとり(休業損害の打ち切り・治療費の支払いの打ち切り)も医師が行います。保険会社の担当者からたびたび患者の治療状況を回答しなければならず、その都度書類記載も必要です。場合によっては、保険会社の代理人弁護士と会い、患者の治療状況を回答するケースもあります。

これに加え、後遺障害が残った場合は、通常の診療ではあまりやることのない「後遺障害の等級申請」の書類(意見書)記載や、損害保険料率算出機構からの医療照会に回答しなければならないこともあります。

このため、外科系の医師は、交通事故患者に関わる書類対応に日々四苦八苦していることと思われます。

5.新型コロナで注目の「傷病手当金申請」も医師負担増

このほかにも、新型コロナウイルス後遺症などで注目された「傷病手当金申請」は内科系や心療内科・精神科の医師にとって負担となっているケースが多いです。

こちらは、量としてはA4の紙1枚程度ですが、診療報酬が100点(1,000円)と一般診断書(平均3,000円~5,000円)に比べ安価なため、多忙な医師にとってはあまりタイムパフォーマンスがよくありません。このため、医療クラークが記載代行を行っている医療機関もあるようです。

診療科を問わず、入院や長期の傷病による生命保険請求の意見書なども、患者・保険会社との間で板挟みとなり、泥沼化する場合があります。

また、英文による診断書・診療情報提供書を求められた場合にも、留学経験などがあまりなかったり、語学力に自信がなかったりすると負担が大きいです。代行も困難であるため、医師にとって大きな負担となっています。

2024年からの働き方改革に向けて

このように医師が対応したくない業務としては、医療に関連している診療よりは、普段の診療に生かされない「書類作成」が大きなウェイトを占めております。

書類作成には誤字脱字や転記ミスなどは許されず、また診療の合間や昼休み、診療業務終了後などの時間外で対応するために、時間外労働の温床にもなり、医師の業務上のストレスとなっているのです。
2024年より実施される働き方改革においては、こうした書類作成代行業務をしっかりと対応ができる組織作りが欠かせません。医師確保や離職予防という観点からも、今後の医療機関の運営においては“書類作成代行業務”の存在が不可欠になってくるでしょう。

著者:
株式会社幻冬舎ゴールドオンライン

提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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