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小型検体検査機器を院内設置するメリットとは?【検査会社が解説】

小型検体検査機器を院内設置するメリットとは?【検査会社が解説】

開業されている医療機関の皆様は、普段検体検査をどのように運用されていますでしょうか? 診療所においては、検体検査は全て外注(検査センターに委託)という医療機関も少なくないと思います。
今回は診療所での検査機器導入において、外注検査を受託する検査会社である株式会社エスアールエルの桝田博朗氏に小型検査機器にフォーカスを当て、導入した際のメリットや効果、また導入までに注意しておくべきことを解説いただきます。
また、導入前に小型検査機器の実際に触れることができるようエスアールエル目黒ラボに小型検査機器の展示室を用意しています。今回ご協力いただいた各社の検査機器が揃っており、尿一般、生化学、血糖、血算、CRP、免疫などの機器を展示しているので、是非お越しください。(来場者特典あり)

検体検査を実施する際に活用するPOCT(Point of Care Testing)

医療機関(病院内や在宅医療の現場)で検体検査を実施する場合に活用するのが、POCT(Point of Care Testing)です。POCTとは、操作が簡便で迅速にデータを得ることができる検査機器や迅速診断キットなどを利用して行う検体検査をいいます。 具体的には血糖検査やHbA1c検査、インフルエンザ抗原検査などがあります。
POCTの市場は年々増加しており、2022年度の国内POCT市場規模(10分野計)は、事業者売上高ベースで前年度比217.1%の3,335億円(※1)となっています。

大きく伸びた要因としては新型コロナウイルス迅速抗原検査キットがありますが、数年前と比較して、検査機器の小型化、測定時間の短縮化、操作性が大きく向上した事により、診療所での採用数が増えた事が考えられます。

(※1)株式会社矢野経済研究所 POCT市場に関する調査を実施(2023年)より
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3343

検査機器の導入でもたらされる効果

検査機器導入のメリットは、診察時に結果が分かる迅速性にあります。これにより患者の症状を迅速に把握し、適切な治療を提供することが出来ます。検査センターへ外注している場合、1日1回、又は、1日2回の検体集荷で検体を受け渡し、翌日に結果が届くという事が多いですが、その場合、検査データに気になる点があった場合は患者へ連絡をするか、次回来院時に確認をする事になります。

それに比べ、検査機器導入施設は診察時に炎症疾患、心疾患などの緊急性を要する疾患の除外診断が可能になることはもちろん、当日から治療方針を立て治療を実施することが可能となるので、痛風や糖尿病、脂質異常症などの疾患には有用であり、患者様の治療に対するモチベーション向上に繋がると考えられます。

また、薬剤性の肝障害など、治療を続けていくにあたり、肝機能・腎機能・脂質においては来院当日に結果が分かるメリットは大きいと思います。

このように検査機器の導入は医療提供側、患者様の双方にとって良い効果をもたらし、患者満足度を高める要因になります。

これらを考えると、患者様にとって検査機器未導入施設と導入施設のどちらにメリットがあるかは一目瞭然であり、ここ数年の新規開業クリニックでは、他医院や地域の長く診療されているクリニックとの差別化として導入するケースも増えており、未導入施設においては検討を行う必要があるように思います。

検査機器導入のメリット

・緊急性の確認
・治療開始、経過観察の即時性
・治療モチベーション向上
・患者の来院日数削減⇒医療機関の新患枠確保

但し、すべての検査項目を院内で実施する事は現実的ではなく、設置場所や手技、費用対効果などの課題から、検査項目によって外注と院内を使い分ける事を推奨します。院内で実施する具体的な検査項目としては、尿一般、血算、CRP、BS、HbA1c、生化学、感染症、アレルギー、心疾患項目、血液ガスなどを検討していけば良いかと考えます。

 

小型検体検査機器を院内設置するメリットとは?【検査会社が解説】

▶導入における3つのフロー

医療機関、患者の双方に有用な検査機器導入ですが、いくつかの課題が考えられるため、診療所において、検査機器を導入する下記3つのフローに分けて説明します。

【1】情報収集

情報収集においては、タッチポイントの多い医薬品卸、友人、知人ドクター、医師会などコミュニティからの情報、医療情報プラットフォーム、メーカーからのアプローチなどが考えられます。

本稿をお読みの医師の中には、開業時に医薬品卸の支援を受け、医療機器を一式購入したという経験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。医薬品卸のME(医療機器担当者)は、医療システムや画像系、生体系の機器には詳しいものの、こと検体検査機器については知識が不十分ということも考えられます。診療科ごとに必要な検査機器のラインナップや情報は抑えているが、地域の特性やかかりつけ医制度により、専門診療科だけでなく、幅広い知識や疾患に対応する整備が必要となった昨今においては不十分な提案である可能性も考えられます。

友人、知人ドクターや医師会などのコミュニティも同様に、医薬品卸より情報を得ている場合が多く、そこまで情報格差は無いと考えます。

医薬品情報や電子カルテなどの医療システム、医療機器の情報収集で活用している医療情報プラットフォームですが、例えば、ドクターがBNPの検査機器を探したいといった際には一定の効果を発揮しますが、疾患や症状別で必要な機器を検索する事やドクターが想定していない検査項目の機器を促してくる事はありません。

最後に、メーカーは多くの情報を持っており、多方面から情報提供をすることができますが、診療所とのタッチポイントが少ない事が課題になっています。多くの診療所では検査機器を扱うメーカーとの取引がないどころか、訪問してくることも稀です。その為、生体検査などで取引のあるメーカーなど、特定分野の情報に偏っている現状があり、これら課題を解決する必要があります。

【2】メーカー選定

メーカー選定では、機器の大きさや設置場所、検査項目ラインナップ、検査結果管理、操作性の検討を行います。採血を行う処置室や尿検査を行うトイレの近くに設置が出来るか、必要な検査項目が十分であるか、検査結果は機器本体より印刷される結果表にて管理を行うのか、電子カルテや検査システムに結果を反映するかにより、LANなどの弱電工事の必要性がある場合も考えられます。診療所では検査機器の操作を検査技師ではなく、看護師が行う事も多くあり、操作性やメンテナンス方法などの確認も必要です。

【3】費用対効果

費用対効果に関しては、収益だけを考えると、外注検査より高額になる事が多く1検査当たりの収益は減少します。診療報酬として、当日結果報告を行う事で1項目10点、1日5項目を限度として外来迅速検体検査加算を算定する事が出来ますが、算定要件が厳しく、当日中に算定対象検査すべての結果が判明し、患者にその結果を文書で説明するとともに、結果に基づく診療が行われた場合にのみ算定可能となります。つまり、同一オーダー内の算定対象検査に1つでも外注が含まれた場合は1項目も算定出来ない事になります。外来迅速検体検査加算の算定対象検査項目は、厚生労働省告示第七十三号別表第九の二 検体検査実施料に規定する検体検査(※2)に掲載されています。ご参考までに検査項目をお示し致します。

(※2) 厚生労働省告示第七十三号より著者作成

収益としては前述の通り、外注に委託する方がメリットになりますが、臨床的に必要な情報を即時に知れる事の効果は計り知れず、結果として患者サービス向上に繋がり、集患に繋がることは大きな効果とみることができます。

院内検査機器を採用しているドクターからは、「臨床の現場は教科書通りではなく、検査を行わないと分からない病状が存在する。過去には、肝機能検査を行うことで初めて胆管炎を診断し、救急搬送で命を救った事例があった。通常胆管炎は腹痛を伴うことが一般的だが、老人になると痛みを伴わない胆管炎もあり、所見として、軽い黄疸がある程度であったが、念の為、院内で検査を実施したところ上記のような救急搬送が必要な状態であることが分かった。院内検査機器がなければ、何も武器を持たずに診断を下すようなものであり、そのような状況では十分な診療が出来なかっただろう。」とご意見を頂いた事があります。

ここまで院内検査機器のメリットやデメリット、現状の課題をお伝えしてきましたが、医療機関の皆さまに、小型検体検査機器(POCT)の情報が届いていない現状は、診療への支障、患者サービスへの機会損失があると考えています。

そこで、弊社が幹事会社となり、検査機器メーカー3社(アークレイ、富士フイルム、日本光電)も参画いただき、診療所への検査情報の発信に向け、臨床症状や疾患別に対応出来る検査機器の紹介や、診療面からの必要性やメリットをお伝えしていきたいと考えています。

今後、様々な取組を予定していますが、まずはエスアールエル目黒ラボに小型検査機器の展示室を用意しています。各社の検査機器が揃っており、尿一般、生化学、血糖、血算、CRP、免疫などの機器を展示しているので、是非お越しください。

小型検体検査機器を院内設置するメリットとは?【検査会社が解説】

エスアールエル目黒ラボ(小型検査機器の展示室)

小型検体検査機器を院内設置するメリットとは?【検査会社が解説】

エスアールエル目黒ラボ(小型検査機器の展示室)

本取り組みにご協力いただいた3社のコメント

<日本光電工業株式会社>
日本光電工業株式会社
首都圏GP支店 ソリューション営業部
検査ソリューション課 課長/穂積 典男様

今回、株式会社エスアールエル様にお声がけいただき、小型検査機器の製造メーカーの1社として目黒ラボに弊社の血球計数器を展示させていただく運びとなりました。ご訪問された際は是非、ご覧ください。学会での企業展示ブースなどでも検査装置を見ていただく機会はあるかと存じますが、企業ごとの展示であり、一つのブースに複数の企業の装置が混在していることはありません。

医療機関様のご要望として取り扱う検査データをシステムで一元化管理をされることが増加傾向です。目黒ラボにお越しいただければ、一度に各領域の検査装置の情報収集をするだけでなく、各社製品を横並びで見ていただくことで、ご施設での設置レイアウトやワークフローをイメージしていただくお手伝いができるかと考えております。

本取組みが先生方にとってより良い施設づくりや検査装置導入検討をサポートし、院内検査だから実現できる患者様のQOL向上に繋がるきっかけとなれば幸いです。

<アークレイマーケティング株式会社>
アークレイマーケティング株式会社
首都圏ブロック ブロック長(営業部長) /芝川 昭伸様

弊社は臨床検査機器及び試薬に関して、研究・開発・製造・販売・アフターフォローまで一気通貫で対応している国内メーカーでございます。幅広いPOCT機器のラインナップ(血算、CRP、生化学、尿定性、心筋マーカー、HbA1c、血ガスなど)を揃えており、販売のみならず幅広い情報提供者として医院様とのパートナーになるべく努めて参ります。

<富士フイルムメディカル株式会社>
富士フイルムメディカル株式会社
東京支社 IVDシステムセンター/センター長 有馬 広貴様

富士ドライケムは血糖専用機からスタートし、発売から今年で40年を迎えます。今では肝機能・腎機能、脂質、電解質を含む30項目をコンパクトな装置1台で測定できるようになりました。今回の取り組みは、診療所様の「即時性」と「対応力」をより強力にサポートするために、エスアールエル様を中心に、メーカー4社が垣根を越えてタッグを組みました。POCTの普及によって、患者が検査を身近に感じたり、医療従事者との信頼関係を良好にしたりする一助となりましたら幸甚です。

小型検体検査機器を院内設置するメリットとは?【検査会社が解説】

ぜひこの機会にご来場お待ちしております(来場特典あり)

今回協力いただいた各社から来場者特典としてプレゼントをご用意しております。

【プレゼントの内容】
・アメニティケース、絆創膏、メモ帳、クリップ(提供:株式会社エスアールエル)
・ASTALIFT MEN MONOM トライアルキット 20ml(提供:富士フイルムメディカル株式会社)
・ステンレスサーモタンブラー 380ml(提供:アークレイマーケティング株式会社)
・付箋、ボールペン、メモロール(提供:日本光電工業株式会社)

【対象】
・医療機関さま限定
・来場時のアンケートにご回答いただいた方

【期限】
2024年8月31日まで

【注意点】
・開館時間:平日 9:00~19:00まで
・1医療機関につき、各社1セットまでとさせていただきます。
・予告なく内容変更となる場合があります。

【お問い合わせ先】
株式会社エスアールエル
https://www.hugp.com/srl/contact/?contact_cd=10

私たち医療関連企業はプロダクトやサービスを提供するだけでなく、情報提供者として、診療所のドクターと連携し、患者の健康を間接的にサポートする使命を果たしたいと考えています。

医師の数は年々増えている。医療関連企業にとって顧客の数が増えてくる事で、これまでと同様のサービスや待遇を続ける事は厳しくなる事が想定される。医師と取引業者の双方が良い関係を築き、患者様にとって良いサービスを提供する環境を構築する事が持続可能な三方よしに繋がります。

このコラムが診療所の医師の皆様にとって有益であることを願っています。

著者:
桝田 博朗
株式会社エスアールエル 営業推進部 営業推進課
経営管理修士(MBA )、臨床検査薬情報担当者(DMR )

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