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【買収事例紹介】なぜ、あの先生はクリニックを譲り受けたのか

【買収事例紹介】なぜ、あの先生はクリニックを譲り受けたのか

画像はイメージです。

事例から学ぶ。買主が、M&Aを利用するメリットとは?

地域医療を継続させる手段として注目を集めている事業承継ですが、他にも様々な目的で活用されています。
当然ですが、売主と買主の両者にメリットが無いと事業承継は成立しません。
今回は成約事例から買主の目線でポイントを読み解いていきます。

買主目線での事業買収メリット

事例の紹介の前に、一般的な買主がM&Aを利用するメリットを挙げてみます。

1.開業の初期コストを抑えられる
2.患者を引き継げる
3.従業員を引き継げる
4.収支が予測できる
5.(分院の場合)不採算事業でも改善できるノウハウがある
6.(分院の場合)グループシナジーが見込める

ここで挙げたメリットは、ほんの一部です。買主の数だけ思惑は存在します。
実際にあった、【事例1】【事例2】から、買主がどのような思惑で買収に至ったのか、是非、買主の思惑をイメージしながらご一読ください。

【事例1】:Uターン、関東圏の勤務医が出身地の医院を承継した事例

(背景)

買主の医師Aは東京の大学を卒業後、関東圏の病院を中心に活躍されてきました。両親の介護もあり「いつかは地元で開業」と以前より考えていました。40歳の誕生日をきっかけにM&A仲介会社に複数登録したところ、数か月後に希望エリアでの承継案件を紹介されました。

(買収に向けた活動)

医師Aが勤務医であった為に、成約から勤め先の病院を辞めるまで10カ月ほどが必要でした。売主も希望譲渡日までは余裕があり、買主のスケジュールに合わせることで商談が進みました。

医師Aが事業承継を検討をするにあたり、以下の2点が好評価のポイントでした。

「①新規開業より費用が抑えられる」
院内は綺麗に保たれており多くの内装費が必要なかった為、余った予算で最新の治療機器を購入することが出来ました。

「②従業員が残留してくれる」
医師Aの地元は人口5万人程のエリアで従業員の採用は大きな課題でした。全従業員に残留して頂けるよう、当初より慎重に対応しました。売主と買主の基本合意が成された段階で、事業承継の報告と挨拶を兼ねて全従業員を招いた食事会を企画しました。
食事会で、医師Aの人柄や考えを知ってもらった上で、雇用条件など個別の話し合いを行いました。食事会の効果もあり、全従業員(看護師3名・受付事務員2名)と引き続き雇用関係を結ぶことが出来ました。

院長交代後も従業員に変化がなかった事で、患者対応や院内オペレーションも円滑に行え、患者離れも殆ど起こりませんでした。日時の経過とともに新しい風土も取り入れ、益々繁栄をみせる医院は、地域医療の担い手として、今日も笑顔が絶えない場所となっています。

【事例2】グループシナジーで立て直す為に承継した事例

(背景)

売主である医療法人Aは、1日7万が利用する関東地方主要駅より徒歩5分の好立地に位置しています。数年前、理事長の体力低下と従業員の雇用難を理由に、ベッドを返還して無床医院となりました。その後、有床部分だった建物は利用されずに遊休施設になっていました。有床医院だった名残から、敷地面積が広く駐車スペースも15台程度あります。

買主の医療法人社団Bグループは関西地方を中心に医院8施設と介護施設4施設を展開しています。更なる事業拡大に向けて引き続き事業承継を模索していました。

売主としては、事業承継と併せて、現理事長が個人保有している当該医院の土地・建物の買い取りを希望していました。収益面としては遊休施設の影響が大きく、近年は厳しいものとなっていました。

(買収に向けた活動)

本件は、遊休施設へのアプローチが難しく、他の買主候補とも、なかなか成約しなかった事例です。買主の目線からは、遊休施設の利用を含めた収益の改善が必要です。買主の医療法人社団Bが収益改善に向けて行った施策は大きく2点です。

①2診体制から3診体制に事業を拡大した。
②遊休施設を介護施設として運用した。

買主グループが掲げた事業計画は①、②共に買主グループとしての法人規模やノウハウを活用する内容となっています。医院(外来)は医師と従業員の補充を行い、2診体制から3診体制に事業を拡大して売上の増加を目指し、介護施設を開設することで遊休施設の問題にアプローチしました。

買主のグループ会社であるMS法人が売主の理事長より土地・建物を購入、医院部分は医療法人にテナント貸し、介護施設はMS法人が運営する体制となっています。

最後に

M&Aという手段で第三者への承継を支援する専門事業者も増えています。個人・法人に関わらず、将来への期待や不安なども含め、早め早めの相談で、充実のNextStageを目指してみてはいかがでしょうか。

著者:
株式会社CBパートナーズ
スーパーバイザー 山根 瑠太郎
提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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