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画像はイメージです。
今回はクリニック運営の4つの着眼というテーマです。
1.患者の着眼、2.経営の着眼、3.カイゼンの着眼、4.自己成長の着眼 の4つです。
これらに関心を持ちながらクリニック運営を行うのが院長夫人の役割となります。
難しいように思えるかもしれませんがポイントは押さえておきましょう。
はじめに、地域に必須の施設
日本の社会は、少子高齢社会が加速しています。
2020年の出生数は1899年の調査開始以来過去最少の84万835人で、死亡数は137万2,755人、人口の自然減は53万1920人という結果になっています。(令和2年(2020)人口動態統計(確定数)の概況 より)将来の日本社会を考えるととても気になる数字です。
超高齢社会の中で、クリニックの役割はとても重要です。誰しも、年齢とともに肉体的に衰え、必ずどこか具合が悪くなります。
高齢者からすると近くにスーパー、クリニックは絶対に必要な施設となります。
患者同士が「最近、〇〇さん来ないわね」「病気にでもなったのかしら…」こんな会話が交わせるサロンのような感覚がクリニックの理想の姿かもしれません。
地域にとってなくてはならない存在、自信と誇りを持ってクリニック運営を行っていきましょう。
1.患者の着眼
患者は、クリニックから見れば、顧客となります。
しかも、その顧客は不調を訴えています。
患者のニーズは何でしょうか?
待たずに、早く、分かりやすい説明、親しみやすさ 等が上げられますが、ニーズはあっても言いづらいのが患者心理。
そのために振り返る意味からも定期的なアンケート 等によるマーケットリサーチが必要です。
医療もサービス業ですから、患者市場のマーケットインの考えはとても大切です。患者ニーズに対応するには4点のポイントが上げられます。
●オープン
オープンとはクリニック全体の雰囲気作りです。
閉鎖的ではなく、オープン、開放的であることが大切です。
「〇〇医院の院長の奥さんはいつも明るく笑顔で迎えてくれる。」という評判はとても大きいものがあります。
●会話と対話
会話は他愛のない世間話です。
対話は治療に係わる分かりやすい説明と同意です。
●尊重
何よりも重要なのは患者ひとり一人への尊厳重視です。
大切に人として扱われている、という感覚はとても大切です。
●安心と信頼
上記の3つの要素が揃って、4つ目の安心と信頼を獲得することができ、繁盛クリニックへとなっていきます。
2.経営の着眼
経営は院長の着眼といっても良いでしょう。
医療はチームで動いていますが、その中心にいるのは院長であることは確かです。
院長の理念は明確に提示されているでしょうか。そして活用されているでしょうか。
院長、クリニックの理念は全スタッフにとって、依って立つ考え、共通言語です。提示に加えて、朝礼で唱和する、定期的な勉強会の中で活用する、あるいは賞与等の評価に使用する等の活用が大切です。
3.カイゼンの着眼
カイゼンは、それぞれの専門職における業務の改善です。患者ニーズに合わせた現状の定期的な見直しと改善ということになります。専門職ですから以下のような4つの要素で常に業務のカイゼンが必要です。
Q:クエスチョン
業務への問題意識、もっと効率的に、待ち時間短縮 等
F:フィードバック
見直し、振り返りです、皆で考え知恵を出し合う
C:チェンジ、
なにを変えるか、それまでのやり方の何を変えるか
S:シェア
全員で共有化
こうしたQ-F-C-Sのサイクルを回すことのできるクリニックが活性化施設であり、患者の健康維持をサポートすることができるクリニックです。
そして、ムリ・ムラ・ムダを省いて効率を考えることも大切です。患者が快適に過ごせる環境(アメニティー)や、患者により良いケアができる医療機器 等には、コストがかかります。
無駄なコストはないかを考え、カイゼン図ることも大切です。
クリニックによっては業務改善員会を作って無駄なコスト削減に取り組んでいるところもあります。
4.自己成長の着眼
医院理念に沿って自己管理を行い、目標をもって頑張っているスタッフは貴重な戦力です。そうしたスタッフが成長していく上で3つの能力が必要です。
●職務専門知識・技術(専門性):各専門性を支える知識と技術
●人的能力(人間性):人柄、対人能力(コミュニケーション能力)
●健康維持能力:自分自身の生活をより健康的に生活管理できる能力
医療は対人サービスですので人的能力はとても重要です。それぞれの能力は顔の表情、挨拶や返事、気づき気遣い、職場内では報告や連絡相談、整理整頓清掃といった行動に現れてきます。
院長夫人の能力
最後に院長婦人にとって必要な能力について考えてみたいと思います。
医療の専門資格をもって院長と一緒に取り組んでいるご夫人もいれば、専門資格のないご夫人もいます。どちらにしても、院長夫人は連結ピンであり補完者であることは間違いありません。自己成長の着眼でお示しした3つの能力の内、院長夫人にとって大切なのは人的能力です。
クリニックの顔であり、職場内のコミュニケーションの要ですので、大きな視点で患者、スタッフ個々への関心をもっていきましょう。日々の声掛けは忘れずにいきましょう。
その分、ストレスも溜まりますのでストレス対処能力も身につけましょう。ストレスの対処ポイントも3つです。
話す、動く、趣味の3つです。
話すことは溜まっているものの解放(リリース)です。親しい友人と話しましょう。動くことは、休日は場所を変えるためにでかける、運動する、そして自分の夢中になる趣味も大切です。
こうしたストレス対処能力を身に着けることで心は柔らかくなり職場で柔軟に対応することができます。
ストレス対処能力を身に着けることで、院長、スタッフ、患者とのコミュニケーションが円滑になり、安心・信頼を獲得し、繁盛クリニックへと道が広がることでしょう。
- 著者:
ミック研究所 佐藤茂則
心の学び舎日本メンタルサポートアカデミー🄬代表
医療施設はチームで動いています。チーム活力向上のスタッフ教育、モチベーションアップの人事制度や患者とのより良いリレーションの医療カウンセラー講座などを中心に活動しています。
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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