在宅医療や往診に力を入れたい! でも……在宅医療を行うクリニックは、高齢化社会において重要な役割を果…
患者に感動を提供できるクリニックは スタッフにとっても心躍る職場であるべき
一番重要なのは、“心のマネジメント”
通算8クリニック(うち2クリニックは承継売却済み)の整形外科クリニックを開院し、現在は6クリニック全体で1日1,100人以上の患者を診療する、医療法人隆由会。同法人の掲げるスローガンは、「エンターテインメント医療」。
毎朝の開院時にはスタッフ全員で入口に整列し、笑顔で患者さんを出迎えるほか、診察やリハビリの間も積極的にコミュニケーションをとり、患者さんが楽しい気持ちや安心、感動を感じて帰宅できるような医療を目指しています。
そんなクリニックを実現するうえでは、取り組むスタッフのマネジメントや、意欲的に働けるクリニックづくりが不可欠です。同法人のスタッフマネジメントについて大瀧隆博理事長は、「一番重要なのは、いかに“心のマネジメント”に取り組むかです」と、語る。
「実のところ、手技や知識の教育は難しいことではありません。ある程度の一定水準以上を習得させられる体制があれば、それ以上伸びるかどうかはスタッフ自身が現場で学んでいくことだと考えています。ただ、スタッフ同士、あるいは院長とスタッフの関係が悪ければ、いくら手技に優れた人が揃っていてもチームは成立しないのです。同じ方向を向いて、心と心がつながるチームをつくりには、スタッフの“心のマネジメント”が重要だと思います」
日ごろからどのような“心のマネジメント”に取り組まれているのか、紹介していきます。
お互いが尊敬・尊重し合える意識・組織風土の醸成
大瀧理事長が自ら常に実践し、スタッフへ伝えているのが、相手を尊敬し感謝し合う精神だと説明します。
「自分も大変だけど、相手も多くのものを抱えながら一生懸命生きている。そのように相手を尊敬・尊重することで、相手もやがて自分を尊重してくれるようになります。こうした土台がしっかりしていなければ、いくらチームワークを説いても簡単に瓦解します」
相手を尊敬・尊重する姿勢は、日常業務のなかでも実践できると言います。たとえば、大瀧理事長は毎朝本院へ出勤すると、まず自分から出勤しているスタッフに挨拶し、一緒にベッドの手入れや掃除をします。また、分院へ行った際には、相互の尊重・尊敬の大切さや、法人の方向性を繰り返し発信。そのうえで、スタッフに対して日ごろからの感謝や、それぞれのスタッフのよかった活動や働きについて話して回ると言います。
トップの思いを代わりに伝える管理職の存在
ただ、法人内の6クリニック全部に毎日、大瀧理事長が話して回るのは、なかなか難しい。そのため、理事長に代わって日常的に法人の理念や理事長の思いを伝える役割を担っているのが、各分院のマネージャーです。
「多くがもともとリハビリスタッフとして働いていて、マネージャーに向いていそうだと感じた人に声をかけています。当法人の理念や現場をよく知っている人だからこそ、一般的な診療所事務長のような事務業務や院長秘書的な業務ではなく、「ヒト」に関する仕事をしてもらうために配置しています」と、大瀧理事長。
週1回、マネージャーから大瀧理事長へ各診療所の状況が共有されるほか、マネージャーを中心に各分院が自院の質向上へ取り組むような、自律的な体制の一助となっています。
朝礼やSNSで相互理解や意欲向上を促す
「エンターテインメント医療」という共通理念にチームで取り組むためには、個人を尊重しながらも全員が一つの目線になる必要があります。そのうえで、同法人が重視しているのが、朝礼などの場です。
「たとえば、月曜日は『行動指針を全員で清書する』、火曜日は『理事長が思いやメッセージを伝える』、水曜日~土曜日は『仕事のあり方に関する参考書籍を皆で読む』など、一口に朝礼と言ってもいろいろやるようにしています」(大瀧理事長)
また、もう一つ積極的に取り組んでいるのが、同法人の公式SNSから各スタッフの活躍の発信です。「同法人にはこれだけ輝いているスタッフがいる」という第三者への発信はもちろんですが、法人内のスタッフも、自分や仲間の働きを客観的に認識し「頑張っている」とより意欲を高めるきっかけにもなるそうです。
最後に、大瀧理事長は、令和の時代だからこそ、“心のマネジメント”はより重要性を増していると強調します。
「最近の若い人たちは、自己肯定感が低い人が増えてきたように感じています。もちろん、承認欲求はありますが、一昔前の人のように『私、頑張ってますか?』『認められてますか?』と自分で聞きにいかない印象です。だからこそ、こちらから積極的に承認し、尊重し、自分の仕事がどのように社会へ価値を提供しているのかを知ってもらう必要がある。それが、これからの職場で求められる“心のマネジメント”ではないかと思います」
- 著者:
株式会社日本医療企画
取材先:医療法人隆由会 理事長 大瀧 隆博 様
https://ryuyukai.or.jp/
取材日:2022年7月
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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