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画像はイメージです。
SDGsという言葉をお聞きになったことがあると思います。
地球社会が直面するさまざまな問題のなかで、「持続可能な開発目標」として定められた17のゴールのことです。
医療に携わる方々は、まずSDGsの3番目に掲げられた「すべてのひとに健康と福祉を」というゴールを特にご存じではないでしょうか。
今回、3回の連載を通じて、このSDGsへのアプローチを、経営学の世界、ビジネス戦略の観点から考えてみたいと思います。
CSV経営とは?
ハーバードビジネススクールのポーター教授は、「社会課題を解決することによって、社会価値と経済価値の両方を創造する」経営モデルを2006年に提唱し、CSV(Creating Shared Value)と名付けました。
この考え方はリーマンショック後の、持続可能性を無視した競争や、株価至上主義の見直しの風潮とマッチして、世界の経営者たちが新たな道標とする考え方となりました。
これは、その後のSDGsやESGといった、様々なステークホルダーの存在を意識した経営戦略の流れに大きな影響を与えました。
CSRとCSVの違い
昔から似た言葉としてCSR(企業の社会的責任)という考え方があります。CSRとCSVとは似ているようで異なります。その違いを明らかにすることが、CSVの持つ力を明らかにしてくれると思います。
CSVとCSRは下表のとおり、それぞれの動機や取組みのテーマ、利益追求との関係で明確な違いがあります。
CSR(社会的責任)は、自らの事業活動とは異なる分野で義務的・免罪符的に行うものという印象がありますが、ポーター教授は「CSVは戦略的CSRである」と新しく定義して、自らの事業活動を通じて社会的な課題に応える必要性を指摘しました。
そこからさらに進めて、それをビジネス戦略にしてしまおうというのがCSVの考え方です。
CSVとCSRとの比較表
医療事業=「共通価値の創造」?
CSVが唱える「共通価値の創造」とはどんなことをいうのでしょうか。もう、お気づきかもしれませんが、医療事業というのは、その典型例であることがおわかりになると思います。
医療事業を通じて、地域社会に健康、福祉を実現するという「社会課題の解決」を行なうと同時に、医療事業体として当然に利潤をあげています。
身銭を切る無償の社会貢献ではなく、適切に利潤をあげていくからこそ、事業は持続的に継続しているわけです。
ここでは、社会課題の解決と、医療事業体としての収益とが同時に実現し、ウィンウィンの関係にあると理解できます。
さいごに
医療事業は生まれながらにして「社会課題解決事業」でありCSVであるということがお分かりいただけたと思います。SDGsでいえば、「すべての人に健康と福祉を」にダイレクトにつながっています。
しかしながら、複雑化する世界のなかで、地球市民として求められる課題はそれだけではありません。
そうしたことを背景にして、次回からは、医療事業を通じて、健康・福祉のみならず、様々な社会課題に対するソリューションを同時に実現し、社会価値を生み出している実例をいくつかご紹介していきたいと思います。
- 著者:
芙蓉総合リース株式会社 経営企画部 CSV推進室 室長 水谷 高
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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