セクハラやパワハラなど、ハラスメントに対する世間の目が厳しくなっている昨今。業界問わず、こうした問題…

※画像はイメージです/PIXTA
クリニックの競争が激化している昨今、集患力を高めて経営を安定させるためには「WEBマーケティングが必要不可欠」だと、医療法人梅華会理事長の梅岡比俊医師はいいます。阪神地区で耳鼻姻喉科4院に小児科2院、東京都内に消化器内科のグループ医院を経営する筆者の経験から、現代のクリニック経営における「WEBマーケティング」の重要性をみていきましょう。
患者は「WEBサイト」をみてクリニックを選ぶ
まず、クリニックというのは基本的にポジティブな口コミが発生しにくい業種です。
たとえば、美味しいレストランやカリスマ美容師のいる美容院など、人々に「満足感」や「感動」を与える業種・業界は、ポジティブな口コミも自然に広まりやすいでしょう。しかし、クリニックは「痛みを避ける・和らげる」ために訪れる場所であり、感情の動きや身体の状態は“マイナスからフラットに近づける”というイメージです。
オーストリアの心理学者であるフロイトによれば、人間の行動というのは、快楽を求めるか、痛みを避けるかに集約されるそうです。そしてクリニックは後者に分類されるため、ポジティブな口コミが広まりにくいのでしょう。
とはいえ、患者はクリニックの受診を検討する際、まずはWEBで候補のクリニックを検索し、口コミなどの評判などを確認します。そこで、こまめに更新されており綺麗で見やすいWEBサイトの<クリニックA>と、長いあいだ更新されずに放置されたままのWEBサイトの<クリニックB>が近所にあった場合、多くの患者が<クリニックA>を受診するでしょう。
さらに、WEBマーケティングによる認知獲得やクリニックのブランディングは、スタッフの募集・採用にも大きな影響をおよぼします。
WEBマーケティングは、集患や人材確保といったクリニック経営の根幹において、極めて重要な要素となっているのです。
MEO対策は必須!? クリニックのWEBマーケティング
WEBマーケティングにはさまざまな手法があります。その一つで、近年特に重要性がましているのがMEO(Map Engine Optimization)対策です。
MEO(Map Engine Optimization)対策とは、Googleマップ上における「クリニックの視認性」を高める方法で、地図エンジンで検索結果が上位に表示されるためにさまざまな施策を行うことを指します。クリニックを選ぶ基準として、「自分が住んでいる周辺」や「勤務先の周辺」といった「エリア」の優先順位は高く、地図エンジンで検索結果が上位に表示されることは集患に大きな影響をおよぼします。
また、美味しいレストランや観光地と同じように、クリニックも第三者の評価が重要です。レイティング(評価)システムの存在も見逃せません。食べログやトリップアドバイザーのように、患者もクリニックの評価を確認して選ぶ傾向が強まっています。
いまや70代、80代もスマートフォンを使いこなし、WEBを活用しています。GPS機能を使って近隣のクリニックを検索し、第三者からの評価を確認したうえでクリニックを選ぶということが、 “年齢問わず”当たり前になってきているのです。
WEBマーケティングに欠かせない「視点」
クリニックのWEBサイトのクオリティが、集患と人材確保に大きな影響をおよぼすということは、すでに述べました。もっとも、ただ単に立派なWEBサイトを作ればそれで良いというわけではありません。重要なのは、自社サイトの「どの部分(ページ)」が特に見られているかを知ることです。
私のクリニックでは、院長のプロフィールがもっとも見られています。これは医療というものが、人対人のサービスであるため、院長がどんな人物なのかを知りたいという患者が多いからだと考えています。
Googleアナリティクスを使うと、ページ別の閲覧数がひとめで分かるため、ぜひ活用してみてください。患者が興味・関心を抱いてくれているページを充実させることで、より多くの共感や理解を得ることができます。
WEBマーケティングでもっとも大切なこと
近年開業する医師の多くはWEBマーケティングを意識しているように感じます。一方で、その状態を継続できているクリニックは決して多くありません。
たとえば、自社サイトの更新を怠ると、SEO(Search Engine Optimization)対策が不十分になり、検索順位が下がってしまいます。SEOとは、検索エンジン最適化のことで、WEBサイトが検索エンジンの検索結果でより高い位置に表示されるようにする技術や手法などのプロセスのことです。検索順位が下がらないようにするため、定期的にサイトを更新することが重要です。
サイトが更新されていなかったり、SNSが動いていなかったりすると、「このクリニックは最近どうなっているのだろう? ちゃんと稼働しているのか?」という疑問が生じてしまいます。WEBマーケティングは、継続できなければ意味がありません。
クリニックのWEBマーケティングを継続的に行うためには、外部の専門家に委託するか、クリニック内で内製化し、スタッフと共有して行うことが必要です。WEBマーケティングは継続して都度テコ入れしながら、PDCAサイクルを回し続けるようにしましょう。
WEBマーケティングを活用することで、クリニックの機会損失を減らし、他のクリニックに患者が流れるリスクを回避できます。特に競争が激化している都市部では、WEBマーケティングの有無が大きな差を生む要因となります。
クリニック経営者はその重要性を認識し、積極的に取り組むべきです。口コミが広がりにくいという業種であるクリニックにとって、WEB上での視認性を高めることは不可欠です。
患者がWEBを活用してクリニックを選ぶ時代に対応し、継続的なWEBマーケティングを実施することで、クリニックの成長と成功を支えることができるでしょう。
- 著者:
梅岡 比俊(うめおか ひとし)
【医療法人梅華会 理事長】開業医コミュニティ「M.A.F」主宰
兵庫県芦屋市出身。奈良県立医科大学を卒業後、勤務医を経て2008年に兵庫県西宮市に梅岡耳鼻咽喉科クリニックを開設。2011年に医療法人社団梅華会を設立。現在、阪神地区に耳鼻姻喉科4院、小児科2院、東京都内に消化器内科のグループ医院を経営する。2016年に開業医がよりよいクリニック運営を行うための学びの場として、「M.A.F(医療活性化連盟)」を発足。
(編集:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン)
- 提供:
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