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画像はイメージです。
承継対象毎に異なる承継方法と税務処理
クリニックを第三者に承継する場合、クリニックの運営者が個人事業主なのか、医療法人なのかによって、承継方法と税務処理は大きく異なります。
個人事業主、医療法人それぞれの場合の承継対象、税務上の留意点について解説します。
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1.承継対象が医療機器や診療所などの医療施設の場合
個人事業主として運営されているクリニックの場合には、承継対象は、医療機器や診療所などの医療施設そのものが承継対象となります。
●売り手側の税務
ポイント:譲渡試算の内容及び金額の内訳を明確化
個人事業主の場合は、医療施設の資産の帳簿価額と譲渡対価(売却価格)の差額が、譲渡所得税等の課税対象となります。
医療施設の譲渡利益(帳簿価額と譲渡対価の差額)は、分離課税の譲渡所得税等です。一方で、譲渡対価に営業権(のれん)が含まれている場合、営業権については、総合課税の譲渡所得等となります。
このように、譲渡対象資産により、課税関係が変化します。
必ず契約書において譲渡資産の内容及び金額の内訳を明確にしておく必要があります。
資産や負債の各評価額に関する根拠資料が存在しない場合、税務当局とトラブルになる可能性があります。
●買い手側の税務
ポイント:営業権(のれん)の償却方法
医療施設等の資産は取得価額で資産計上します。
営業権(のれん)が含まれている場合には、当該のれん部分は、買い手が個人事業主であれば営業権として5年間の定額法で経費計上、医療法人であれば資産調整勘定として同じく5年間の定額法で損金処理を行います。
但し、医療法人の場合、譲渡対価が時価を下回り、負ののれんが発生した場合には、当該部分を負債調整勘定として5年間の定額法で益金に算入します。
2.承継対象が医療法人の場合
医療法人として運営されているクリニックの場合には、承継対象は医療法人になります。
医療法人の形態によって、大きく2つの手法が存在しています。
●持分の定めのある社団医療法人
承継方法として、出資持分譲渡、出資持分払戻し、事業譲渡、合併の4つが考えられます。多くの場合は、出資持分譲渡、出資持分払戻しの方法で行われます。
出資持分譲渡:
出資者である社員が、出資持分を譲受人に譲渡する方法。
課税関係として、分離課税の譲渡所得課税等とし、譲渡益に対して20.315%の課税となります。
出資持分払戻し:
出資者である社員が医療法人を退社し、それに伴い出資持分に応じた払戻しを受け、対価を受け取る方法。
課税関係として、その払戻し金額のうち当初の出資金額を超える部分については、総合課税の配当所得として取り扱われ、他の給与所得や不動産所得などと合算されて最高で55.945%の課税となります。
事業譲渡:
医療法人が開設している病医院を譲受者が譲渡を受ける方法。
譲渡者の医療法人は存続することから、あくまで譲渡側の医療法人が開設している施設等の一部のみを譲渡する場合に行われる方法です。
合併:
2つ以上の医療法人が1つの医療法人になる方法。
医療法人の合併は、都道府県知事の認可が必要であり、事前に合併の認可申請手続きを行う必要があります。
●持分の定めのない社団医療法人
承継方法として、退社入社方式、事業譲渡、合併、分割の4つが考えられます。多くの場合は、退社入社方式の方法で行われます。
退社入社方式:
承継する医療法人の譲渡者である社員が退社し、譲受者の社員が入社し、社員の入替を行う方法。
社員の入替とともに役員も併せて譲渡者の役員が辞任し、譲受者側の方が役員に就任します。
分割:
医療法人の事業の一部を別の医療法人に承継する方法。
都道府県知事の認可が必要になり、事前に分割の認可申請の手続きを行う必要があります。
一筋縄ではいかない第三者承継
第三者間における承継方法には、多様な選択肢が存在します。
各先生方、医療法人のおかれている状況により適切な承継方法を選択しなかった場合、後に大きな税務上の問題などに直面する可能性があります。
承継は、遠い将来のこととは思わず早い段階で十分な余裕をもって取り組む必要があります。
- 著者:
北島潤一
北島公認会計士・税理士事務所 代表
<企業概要>
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