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老後は“悠々自適なセカンドライフ”を楽しみたい…開業医が「効率的に」退職金を準備する方法【お金のプロが解説】

老後は“悠々自適なセカンドライフ”を楽しみたい…開業医が「効率的に」退職金を準備する方法【お金のプロが解説】

※画像はイメージです/PIXTA

開業医は、自分で準備をしない限り退職金を受け取ることができません。なかには「生涯現役のつもりだから自分には関係ない」と考えている人もいるでしょう。しかし、高齢になっても医師の激務を続けられる保証はありません。そこで今回、忙しい開業医が効率的に退職金を準備するための方法を、FP Office株式会社の志村哲司FPが解説します。

開業医は退職金をもらえない?

自らが経営者である開業医は個人事業や医療法人などの経営形態を問わず、なにも準備していない場合、退職金はもらえません。

これから長い間、患者さんのため、スタッフのため、そして家族のため、骨身を削って働き続けていくと考えると、せめて老後くらいは十分な退職金を受け取って、のんびり暮らしてみたいと思いませんか。

高収入な分、支出の多さも桁違い

厚生労働省「第21回医療経済実態調査」によると、開業医の平均年収は2,748万円です。対して、国税庁によるとサラリーマン(給与所得者)の1人当たりの平均給与は461万円ですから、6倍近くの年収を得ていることになります。

誰もが羨む高収入である一方、生活レベルが高く、その分支出も多いという人も少なくありません。交際費も一般的な会社員と比べると、桁違いに多いのではないでしょうか。

現役のころは良いのですが、退職してからが問題です。退職とともに収入は一気に減り、使えるお金は制限されてしまいます。

にもかかわらず、一度上がった生活レベルを下げることは簡単ではありません。「お金を使いたくないから付き合いを減らす」ということも、簡単にはできないでしょう。

そういった事態にならないためにも、十分な退職金を得られるよう自分自身で何らかの準備をしておくことが重要です。

「生涯現役」の代償

開業医は、本人次第で高齢になっても働くことができ、働いていれば収入は得られます。長く働くことは収入面で大きなプラスの効果をもたらすだけではなく、地域医療への貢献という面から大変素晴らしいことです。

しかし、クリニックの経営には相当な激務が伴います。それは医師としての業務だけでなく、経営者として常にヒト・モノ・カネをどうするか、経営判断し続けることが求められるからです。

余談ですが、東京都保険医協会が2020年に行った調査によると、開業医の約20%が週60時間労働、月80時間の時間外労働(いわゆる過労死ライン)で働いているとのことです。

多忙な開業医でも退職金を準備する方法3選

次に、退職金を準備する具体的な方法について、いくつかの制度と特徴をご紹介します。

1.「小規模企業共済」

退職金積立をしながら節税にもつながる優れた制度です。
※常時使用する従業員の数が5人以下であることが加入の条件。

加入可能な年齢:年齢制限はありません

特徴1:掛金は全額所得控除の対象
特徴2:共済金(=退職金)は「退職所得控除」の対象
特徴3:掛金は月額1,000円~70,000円の範囲内で自由に選択
特徴4:支払済み掛金累計額の7~9割の範囲内で貸付制度の利用が可能

主なデメリット:医療法人化すると継続加入はできなくなります。
加入窓口:商工会議所、青色申告会、都市銀行、地方銀行、信用金庫など

2.「iDeCo」(個人型確定拠出年金)

こちらも退職金積立をしながら節税につながる制度です。

加入可能な年齢:18歳~64歳(65歳未満)

特徴1:掛金は全額所得控除の対象
特徴2:一括受取の場合は「退職所得控除」の対象
特徴3:掛金は月額5,000円~68,000円の範囲内で自由に選択
※ただし、国民年金基金掛金と合算で68,000円のため要注意
特徴4:個人経営も医療法人いずれの経営者も加入が可能
※ただし、法人経営者の掛金は通常月額23,000円が上限

主なデメリット:60歳になるまで、積立金を一切引き出すことができません。
加入窓口:証券会社、都市銀行、地方銀行、信用金庫など

3.「積立型生命保険」

退職金積立と同時に各種保障が得られるので、リスクマネジメントとしても優れた商品です。

加入可能な年齢:保険会社や商品によって異なります。

特徴1:保険料は生命保険料控除の対象(その年に支払った保険料の一部が所得控除となります)
特徴2:満期金や解約返戻金
特徴3:特定疾病に罹患後の保険料積立を、保険会社が代行する特約あり
特徴4:死亡・介護・障害・3大疾病などに対する保険金の確保が可能
特徴5:個人経営の医院・医療法人ともに加入可能
※税制が異なるため専門家によるアドバイスを推奨

主なデメリット:経過年数や資産運用の状況によって、元本割れのリスクがあります。
加入窓口:保険会社、保険代理店、FP事務所、都市銀行、地方銀行、信用金庫など

いかがでしたでしょうか。

上記以外にもさまざまな制度がありますが、最も大切なのはご自身に合っている制度や商品を選ぶことです。

したがって、まず自分が引退後にどのような生活をしたいのか、それにはどれくらいの生活資金が必要なのか、公的年金による収入と、支出の差異を補うにはどれくらいの蓄えが必要なのかといった、ライフプランシミュレーションをすることが、もっとも大切です。

悩んだときはファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみることをお勧めします。

著者:
志村 哲司(しむら てつじ)
【FP Office株式会社】ファイナンシャルプランナー
大手生命保険会社にて管理職として勤務後、国内最大手保険代理店グループの店舗責任者等を歴任。
保険・金融のエキスパートとしての30年の業界経験から、相続や税務など保険以外の相談が増加。多様化する顧客の相談内容に対応するため、FP Office にファイナンシャルプランナーとして参画。複雑な事柄をわかりやすく伝える技術に定評がある。1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFPⓇ認定者。
(編集:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン)
提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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