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医業承継をするにあたり知っておきたいポイント【前編/売り手編】
※画像はイメージです/PIXTA
全国の開業医のうち、70歳以上の先生は全体の22%超を占め、今後も開業医の高齢化はより一層進むと考えられています。将来の選択肢として、医院を第三者に譲渡する「第三者承継」が挙げられます。そこで今回から前編・後編の2回に渡り、第三者承継の売り手・買い手の立場から特徴やメリット、留意が必要なポイントを日本クレアス税理士法人/執行役員の中川 義敬税理士が解説します。今回は前編として、売り手の立場から見ていきましょう。
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後編:医業承継をするにあたり知っておきたいポイント【後編/買い手編】
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1. 特徴
医業の承継は、一般の事業会社とは異なり、承継者に医師免許が必要になるので、親族に医師がいない場合には第三者へ承継することもご検討いただく必要があります。開業医の高齢化が進むとともに、年々第三者承継の件数が増えています。第三者承継であれば、承継に伴い、譲渡対価が見込めるので、リタイア後の生活資金として見込むことができます。
2. 承継のメリット
第三者承継のメリットとして以下の内容が挙げられます。
▶地域医療の継続が図れる
▶従業員の雇用の継続が図れる
▶建物を診療所仕様のまま、譲渡または賃貸できる
▶譲渡対価に営業権を織り込める
▶テナントの場合、原状回復費用が不要
▶賃貸する場合、他業種に比して比較的有利な賃料設定ができ、長期安定的な収入を確保できる
従来親族に医師がいない場合には、医院の閉院が選択肢に挙がりましたが、医院を閉院してしまうと、今まで診ていた患者の診療を継続することができず、また従業員の雇用も守ることができませんでした。第三者に医院を承継することで、診療・雇用の継続が可能となります。
また、医院を閉院することになると、閉院に際して原状回復費用などの資金が必要となりますが、第三者に承継することができれば、原状回復工事が不要となりますし、医院の営業権に対して譲渡対価の増加を期待することができます。
3. 留意が必要なポイント
医院承継の売り手側は、以下の点に注意が必要です。
▶譲渡対価の算定
▶譲渡した場合には税金がかかる
第三者承継を行うためには、医院の買い手を探すところから始める必要があります。たとえ買い手が見つかったとしても、当事者同士が納得できる条件で譲渡価格の交渉を行う必要があります。
個人診療所を承継した場合には、その年の1月1日から事業承継の日までの事業所得について、確定申告をしなければなりません。申告を行う際には事業所得だけではなく、医療機器などの譲渡に係る譲渡所得も含まれますので、ご留意ください。
4. おわりに
医業承継は、売り手側・買い手側のどちらにもメリットがありますが、承継を実行するには様々な問題を解決する必要があり、専門的な知識や経験が必要となります。ご不安に感じられる先生方は税理士などの専門家にご相談してみてはいかがでしょうか。
- 著者:
日本クレアス税理士法人
執行役員/中川 義敬 税理士(近畿税理士会所属)
【経歴】2007年税理士登録、2009年に日本クレアス税理士法人入社。
現在に至るまで、東証一部上場企業から中小企業・医院の税務相談、税務申告対応、医院開業コンサルティング、組織再編コンサルティング、相続・事業承継コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等に従事。
医院の新規開業支援、会計税務、医業承継・相続対策など、個人医院から大病院までをサポートしてきた医療分野での高い経験を生かすため、2019年7月大阪本部 本部長に就任。現在に至る。
- 提供:
- © Medical LIVES / シャープファイナンス
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