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「忙しいから」と後回し→老後に大後悔。多忙な開業医が「50歳から」はじめる“退職金づくり”

「忙しいから」と後回し→老後に大後悔。多忙な開業医が「50歳から」はじめる“退職金づくり”

※画像はイメージです。

“勤め人”である勤務医には退職金が出る一方、“経営者”である開業医は、一生現役も可能である反面、なにもしなければ原則退職金はありません。今回は、FP Officeの片根竜哉FPが、開業医が早い段階から退職金を準備しておいたほうがいい納得の理由と、その具体的な方法について解説します。

勤務医なら1,000~2,000万円だが…開業医は“退職金ゼロ”

医師には、大きく分けて「勤務医」と「開業医」という2種類の働き方があります。

このうち勤務医の場合、所属している病院の規模や経過年数にもよりますが、相場として1,000~2,000万円程度の退職金が受け取れます。一方、開業医の場合、退職金は受け取れません。退職金とは会社から支給されるものであり、経営者である開業医はそれを支給してくれる人がいないためです。

経営者ですから、当然定年もなく、引退の時期も自分で決めます。生涯現役で働ける可能性もありますが、ケガや病気など“万が一の事態”がいつ起きるかもわかりません。そのため、いつでも現役引退ができるよう、早期に老後資産を貯蓄していく必要があるでしょう。

「医師=高収入」のはずが、お金が貯まらないワケ

厚生労働省の調査(※)によると、医師の平均年収は1,170万円程度です。
(※)出典:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査」

医師は他の職業に比べ生涯収入が高い傾向にありますが、それでも老後の経済事情が厳しくなる可能性は十分にあります。いったいなぜでしょうか。

開業医は支出が多い

労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計2019―労働統計加工指標集―」によれば、平均生涯収入は大卒の男性で約2億7,000万円、女性は約2億2,000万円となっています。

一方、医師の生涯年収は、医師が26歳~60歳まで働いた場合、
【1,170万円×35年=4億950万円
と約4億円にのぼります。平均生涯年収の1.5倍以上ですから、この数字を見れば「医師は老後もさぞかし豊かに暮らせるはずだ」と思う人が多いでしょう。

しかし、ここで考えていただきたいのは、医師の「支出面」です。特に開業医の場合、診療所を建てる際に借り入れた借金(元本)の返済や老朽化に備えた建て替え・修繕のための準備金、病気やけがにより休業した場合の所得補償のための費用などが必要です。こうした支出があることから、前述した退職金相当の積み立てが後回しになるケースが少なくありません。

また、総務省の「家計調査」によると、医師のような高所得者の生活費平均は、月額80万円を超えています。80×12=960万円と、1年で1,000万円近い費用が出ていくと仮定すれば、平均年収(1,170万円)を鑑みても余る金額はそれほど大きくないことがわかります。さらにその他、家族がいる場合は子どもの教育費なども必要になります。子どもが医学部に進学するとなれば、それだけ大きな負担となります。

このように、収入が多いからといって簡単に貯金できるわけではないのです。

年金暮らしは非常に困難…多忙な開業医が「退職金」を作る方法

したがって、退職金がない開業医は、十分な貯蓄がなければ、老後の生活が「年金頼り」となります。

とはいえ、公的年金のみで現役時代と同じ生活水準を維持するのは困難です。現役時代のうちに老後の準備をしていないと、引退後の生活水準を落とさなければ、収支バランスが崩れてしまいます。しかし、一度上がった生活水準を落とすことは、簡単ではありません。引退後、収入が減っても支出を減らすことができず、老後破産に陥ってしまうという最悪のケースが、実際に起きているのです。

この最悪のケースを防ぐために有効な方法として、任意で加入する私的年金や一般NISA・つみたてNISAなどの「資産形成」があります。

私的年金にはさまざまな種類があるので、自分に合うものを探してみましょう。代表的な私的年金としては、

・国民年金基金
・小規模企業共済
・変額個人年金保険
・外貨建て個人年金保険
などが挙げられます。

また、一般NISAやつみたてNISAは今月から(2024年1月現在)新NISAとなったため、変更点を踏まえて検討しましょう。新しいNISA制度は、旧NISAから主に下記の点が変更になります。

・非課税保有期間の無期限化
・口座開設期間の恒久化
・つみたて投資枠と、成長投資枠の併用が可能
・年間投資枠の拡大
(つみたて投資枠:年間120万円、成長投資枠:年間240万円、合計最大年間360万円まで投資が可能)

・非課税保有限度額は、全体で1,800万円
(成長投資枠は、1,200万円。また、枠の再利用が可能)

新しいNISAは、旧「つみたてNISA」を継承する「つみたて投資枠」と旧「一般NISA」を継承する「成長投資枠」の2本立てとなります。年間投資上限120万円の「つみたて投資枠」だけでも、上場株式や投資信託などを対象とした年間投資上限240万円の「成長投資枠」だけでも投資は可能です。

開業医の安心な老後に向けて

退職金のない開業医は、日々の業務に追われ老後の準備が後回しになってしまうことも多いでしょう。しかし、安心して老後を送るためには、「その時が来たらやろう」ではなく、いまから考え始めることが大切です。自分にはなにが必要で、どのような対策をとるべきなのか、これからの人生設計をファイナンシャルプランナー等の専門家と話し合うことをおすすめします。

患者の命を守るために、常に人のために働いている開業医。たまには自分や家族のことを考えて、安心して暮らせる“豊かな老後”を準備していきましょう。

著者:
片根 竜哉(編集:株式会社幻冬舎ゴールドオンライン)
【FP Office株式会社】ファイナンシャルプランナー
大学卒業後、看護師として病院で勤務。小児科で多くのこどもや家族と接するなかで、家族やお金に向き合うことの重要性に気づき、ファイナンシャルプランナーを志す。看護師FPとして金融関係の相談だけでなく、医療、福祉等幅広い相談も担う。
提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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