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退職金には頼れない…リタイア後の医師が“豊かな生活” を手に入れる方法

退職金には頼れない…リタイア後の医師が“豊かな生活” を手に入れる方法

画像はイメージです。

医師は高所得である一方、「退職金はナシ」というケースが少なくありません。

たとえもらえたとしても僅かな額です。さらに、引退後の年金も雀の涙ほどの金額であり、生活水準を落とさずに“豊かな生活”を続けることは、けっして簡単なことではありません。
そこで、生活水準を落とさずに老後も“豊かな生活”を過ごすためにはどうすればよいか、みていきましょう。

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医師の厳しい退職金事情

一般的なビジネスパーソンにとって老後の備えとして期待する収入は、退職金ではないでしょうか。
2019年の厚生労働省調査によれば、大企業における大卒社員(男性)の退職金の平均額は2,289万5,000円、中小企業における大卒社員(男性)の退職金の平均額は1,118万9,000円であり、老後の生活資金として大きな割合を占める金額です。

ただし、医師の退職金事情をみると、給与所得の割に恵まれていないのが現状です。そもそも退職金を支払う規定がない病院もあります。
また、退職金規定がある場合でも、年収から鑑みるとけっして高額とはいえません。

はっきりとした統計はありませんが、15年から20年同じ病院に勤務した場合の退職金は1,000万円~2,000万円程度と考えられます。
一般に退職金は同じ勤務先で長期間働くほど高額になりますが、医師は自身の理想とするキャリアを形成するため転職することが多く、退職金の計算上不利になる傾向があります。

医師が“豊かな生活”を送るうえで、退職金をあてにするのは難しいと考えたほうがよいでしょう。
また、開業医はそもそも退職金がないため、老後の資金は現役時代のうちに準備しなければなりません。

参考:中央労働委員会『令和元年賃金事情等総合調査』

「老後に必要な金額」の考え方

それでは、安心して老後を迎えるにはどれほどの資金があればよいのでしょうか。

(準備が必要な金額)=(老後に使う金額)-(老後の収入)

当然ですが、老後に使う金額が少なければ少ないほど、また老後の収入が多ければ多いほど、準備が必要な金額は少なくて済みます。
重要なことは、「老後に使う金額」と「老後に入る収入」を具体的にイメージできるかどうかです。

まずは、老後に使う金額から考えましょう。
総務省の調査によると、2021年における年収863万円以上の世帯は、1ヵ月の平均可処分所得が68万9,966円です。60歳から80歳までこの金額を毎月使うと、20年間で約1億6,500万円必要です。

生活水準を下げれば毎月使う額を減らせますが、一度上がった生活水準を突然下げることはけっして容易ではありません。
時には旅費などの臨時出費も必要でしょう。さらに、年齢が上がるにつれて医療費などの負担も大きくなります。

そのようななか、特に対策をしていない場合、老後の主な収入源は公的年金です。
開業医であれば国民年金、勤務医であれば国民年金に加え厚生年金を受け取ることができます。

公的年金で受け取れる額は加入期間などによりさまざまですが、2020年の平均をみると国民年金の受給額は月額5万円程度、厚生年金は月額14万円程度です。これでは引退後の生活費としては十分とはいえません。

したがって、老後に豊かな生活を送るためには「公的年金以外の収入」を確保することが非常に重要となります。引退後も継続的に収入を得る仕組みがあれば、引退までに莫大な金額を準備しなくても安心できます。

参考:総務省統計局『日本の統計2021』 、厚生労働省年金局『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』

お金は「稼ぐ」のではなく「育てる」

引退後、継続的に収入を確保するには、発想を転換しなければなりません。
それは、働いてお金を「稼ぐ」ことから、お金を「育てる」方向にシフトすることです。具体的には、資産を運用することで収益を得る仕組みを作ります。

ここで検討したい手法が不動産投資です。マンションなどを購入し家賃収入を得る不動産投資は、ミドルリスク・ミドルリターンの資産運用法で、医師におすすめの手法といえます。

医師は高収入である反面本業が忙しく、本業以外の部分で時間を捻出することは簡単なことではありません。
その点、不動産投資は、不動産を一度購入すれば家賃管理・物件管理の大部分を管理会社に委託できます。よって、本業の時間を圧迫されることなく投資が可能です。

ただし、投資である以上リスクはあります。最大のリスクは買った不動産に入居者が入らず家賃収入が途絶えることです。

空室リスクを左右する最大の要因は不動産の立地ですから、セミナーに参加するなどして信頼できる不動産会社をみつけ、情報を収集することが非常に大切です。

各協会の年金は今からでも加入できる

国民年金・厚生年金以外の年金への加入も、引退後の重要な収入源となります。医師が公的年金以外に加入できる年金は、比較的年齢層が高くても加入できるものがあります。

まずは、日本医師会が運営している医師年金です。
医師年金は日本医師会の会員で申込時点の年齢が64歳3ヵ月未満であれば加入できます。加入者全員が払い込む基本年金保険料が月額1万2,000円、任意の加算年金保険料は1口6,000円からで、上限はありません。

次に、全国保険医団体連合会が運営する保険医年金は満74歳まで加入可能です。
保険医年金は1口1万円、30口まで積み増し可能で、急な資金需要が発生したときは一時金として一部解約することもできます。

そして、開業医が任意に加入すると公的年金に上乗せでき、節税効果もある国民年金基金も活用できます。

国民年金は原則として20歳から60歳まで40年間保険料を支払うことで65歳から年金を受け取れますが、加入期間が40年に満たない場合、受け取れる年金が少なくなってしまいます。
このとき60歳から65歳まで国民年金に任意加入することで年金額を増やせます。そしてこの期間は国民年金基金にも加入可能です。

出費を減らせる医師向け節税手法

医師は収入が高い分、税金も高額です。節税できれば支出が減りますから、その分貯蓄に回すこともできます。

基本となる配偶者控除や扶養控除は、勤務医の方であれば勤務先の年末調整で控除を受けられます。
注意する必要があるのは医療費控除です。医療費控除は、自身または生計を一にする親族のために、一定以上の医療費を支払った場合に受けられますが、自身で確定申告しなければなりません。

特に、勤務医におすすめしたい制度が特定支出控除です。
そもそも自営業の人は仕事に関連する支出を経費として計上することにより節税が可能です。一方、会社等に勤務している場合、経費計上による節税はできません。

これでは不公平であるため、会社等に勤務している人が、たとえば下記の費用を支払ったとき、所得からの控除が認めてられています。

1.通勤費

2.職務上の旅費

3.研修費

4.資格取得費

5.転居費

6.研修費

7.資格取得費

8.図書費

9.衣服費

これらの金額がその年の給与所得控除額の2分の1を超える場合は控除が認められます。収入が850万円を超える方の給与所得控除額は195万円ですから、2分の1は97万5,000円です。これより多額の出費があれば確定申告で特定支出控除を受けることが可能です。

医師の方は老後の資金として退職金があてにできないため、投資や年金・節税などの手法を効果的に使い、今からしっかり準備する必要があります。

引退後の豊かな生活を実現するために、まずは情報収集から始めてみましょう。

著者:
株式会社幻冬舎ゴールドオンライン
提供:
© Medical LIVES / シャープファイナンス

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